地盤災害の現場に立つ
荒砥沢ダム
道路わきの山塊がブロック状に地滑りを起こした場所や,荒砥沢ダム付近の地滑り現場に立ちました。歩いていくと道路が突然なくなり、むき出しの岩だけの世界が現れます。まるで噴火口の中に身を置いたよう。あるいは他の惑星? 映画のセット?
また,ダム近くの山武温泉さくらの湯の大場社長の話を聞きました。大場社長は,荒砥沢ダムの崩壊を自分の目で見た方です。
目の前に広がる光景に現実感が持てない。ほんの10日前には,ここに満々と水をたたえたダムがあったと言われても,とても信じられない風景が広がっていた。
むき出しの岩塊,岩とともに移動し,いろんな方向に傾いたり倒れている木々。ところどころに道路だったと思われる,アスファルトの破片。
地震後1週間ほどは生きものの気配がなくなり,とても静かだったという。私たちが訪れた日は,鳥のさえずりがよく聞こえていた。崖を見ると,ところどころに震災後に芽吹いたと思われる植物が生えていて,自然の破壊力とともに,生命の力を感じることができた。
岩の新しい部分を砕いてみると,パミス(軽石)をたくさん含んだ柔らかい火山灰層。手で簡単に崩せるほど柔らかい。
木の枝に付着した泥の高さは人の背丈以上で,泥のついた方向は,土砂が移動してきた方向を物語る。湖から跳ね上がってきたのではなく,山から崩れてきた土砂が直接木に当たっているようだ。
ダムに至る道は,ダム直前まで震災の兆候を感じさせない。ところが,最後のカーブを曲がったとたん,アスファルトがずたずたに壊れ,4〜5mもあろうかという地割れが現れる。
この地割れは,岩石のブロックが地滑りを起こしたものである。この辺は前から道路に水がしみ出していたとのことで,地下の水脈沿いにすべり面が形成されていたのだろうか。
次は…