空白
前沢養護学校・講演(2001/6/1)
スライド

 指導する前に考えなければいけないことがまだあります。それはどんな強化を与えるかということです。

 一般的にいって,人間は何か行動をしたあとに,自分にとって好ましい結果が得られると,その行動を再び行おうとする性質があります。例えば,

  • お父さんが息子をお風呂に入れたら,上がったとき食卓につめたいビールがあった!
そうしたら,お父さんはきっと次の日も息子を進んでお風呂に入れることでしょう。食卓のビールが,息子をお風呂に入れるという行動を強化したのです。

 もしこれが,ビールの代わりに小言が待っていたら…「たまにお風呂に入れたぐらいでビールちょうだいですって!?やって当然のことをしただけでしょ」お父さんはもう息子とお風呂に入らないかもしれません。これは「罰」です。

 先ほどの財布の件に戻ると,買い物学習の場合,必ず学習したあとに「品物を手に入れる」という強化が待っています。このように行動すると必ず強化されることを「連続強化スケジュール」とよびます。

 一方,行動すると時々強化されるというのは「間欠スケジュール」です。これにはさらにいくつかの種類があります(→スライドの説明)。それぞれさらに,一定の回数や時間で強化を与える場合と,平均すればその程度になるように不定期に強化を与える場合があります。

 それから強化スケジュールとはちょっと違いますが,トークンシステムという方法がありまして,これはポーカーチップのようなものを使って,うまくできたらチップを1枚あげる。何枚かたまったら,好きなものと交換できる。というような仕組みで強化していくやりかたです。

 それぞれ目標とする行動の内容によって,あるいは生徒の実態や課題の達成状況によって,効果的な強化の与え方があるので,指導をはじめる前にどういう強化を与えるか考える必要があります。

 念のために付け加えると,お父さんへの強化子はもちろんビールなどの食べ物である必要はなくて,スキンシップ/実家のじじばばに電話をして「息子をお風呂に入れてもらった!」と喜びの報告をする/「ありがとう」という言葉掛け/など,お父さんが喜ぶものであればなんでもいいわけです。

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