空白
前沢養護学校・講演(2001/6/1)
スライド

 まず目標設定の場面です。私は,目標を立てたあとに,次の二つの観点から見直してみるようにしています。

 一つ目は先ほどの4つの基本理念に沿ったものになっているかどうかという見直しです。

  • 自己決定と選択の機会
  • 実際の年齢に見合った学習内容・機会
  • 同年代の障害をもたない子どもとともに学ぶ機会
…これらの機会が保証されているか。また,子どもの生活の質を高めるような内容か,などです。

 そして次に,目標の文章が前向きなものになっているかどうかという見直しをします。前向きという意味は,否定的でない,成長をめざすような表現になっているかという意味です。

スライド

 例えば今年のうちのクラスにこういう生徒がいます。

  • 人につばをかけるのがとても上手
  • 学校では教師が,家では親兄弟が餌食になります。
熱帯地方に木の上の虫を水鉄砲で撃ち落とすテッポウウオという魚がいますが,まさにあの魚のようにつばが百発百中,数m離れていても逃れられません。

 こういう状況で私がすぐに思いつく目標は『つばをかけない』というものです。でも,この「〜しない」という否定文はちょっとなさけない。それでもう少し状況を観察すると,

  • やるべき事がない自由時間か活躍の機会がない朝の会につばかけは集中
  • 作業学習の時間や食事中などやることがある時はしない
そうすると,つばかけをなくすためには,
  • 朝の会は彼にも活躍の機会を与える
  • 休み時間を適切に過ごすスキルを身に付けてもらう
というあたりが焦点になります。

 朝の会で暇をしているという問題は,彼の問題ではなくて,こちらの状況設定の問題ですから,彼の目標としては2番目の「休み時間を適切にすごす」というものでやっていこうということになります。

 こんなかんじで,目標が否定文になってしった場合は,少し観察して考えることによってたいていの場合は肯定文,つまり成長をうながす方向性で書き直すことができると思うんです。せっかく1年間がんばる目標ですから,ぜひ成長が見える方向性で書いてあげたいと思います。

前に戻る扉前へ特別支援教育の部屋へ戻るスライドの先頭に戻る次へ次への扉
【Short Cut】 |▼第1部へ▼第2部へ▼第3部へ