いわてIEPネットワーク研修会・講演資料
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 まずは「保護者との連携」についてです。ここでのキーワードは,「個別の指導計画は誰のもの?」です。もし個別の指導計画の所有権が10あったとして,本人・保護者・教師はそれぞれどのくらいの所有権を持つと思いますか?私はやはり一番所有権を主張できるのは,本人で,次が保護者だと思います。

 しかし,現状は教師が所有権を独占しているように思えます。目標設定のときに文書で作成したすべての目標を保護者に提示している学校はほとんどありません。たまに提示していても,よくよく聞いてみると「見せるけど渡さない」ということだったりします。評価についても,各学校とも通知票に目標の一部に関して評価を書いたり,目標のことを頭に置いた上で文章表記をするという形で保護者に返しているとのことで,目標に対して1対1で評価を返しているところはほとんどありません。評価を文章で返さないで,保護者はどうやって次の年度の目標を考えるのかなと思います。

 その一方で,個別の指導計画を保護者と共有しようという試みもあります。宮城県立石巻養護学校では,1学期の通信簿で設定した目標について書き,2学期,3学期にはその目標に対する評価を書くようにしているそうです。また,徳島県立阿南養護学校では,個別の指導計画(目標,手だて,評価)をそのまま通知票として活用しているとのこと。これが現在の私が想定する理想の形ですね。ちなみに光明の高等部は目標・評価を保護者に積極的に配付していて,保護者にとても喜ばれています。

 保護者に目標や評価を見せるか否かという問題は,どの学校でも賛否両論があるようです。保護者に手の内をさらけ出して一緒にやっていこうと決断するのは,教師にとって勇気のいることかもしれないのですが,実は教師側から見ても利点があると思います。

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 学校と家庭が共同で計画して指導するわけですから,それぞれの立場で責任を分担できるわけです。計画がうまく行かなかったときでも,どちらか一方が責められるという構図ではなくなります。また,先ほどの第2部で紹介したように,学校で学んでいることを家でも取り入れてもらうことができるようになって,学校での学習がそのまま生活につながる学習になります。

 また,保護者との連携に関してそれに否定的な教師からよく聞く意見として次のようなものがあります。

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 意見は合わなくて当たり前。誰が主役か?誰が脇役か?ということを常に頭に置いて,教師として専門を活かせるように交渉するしかないのではないでしょうか。チームを組みにくい親がいるというのも,これまたしょうがない話。子どもの成長を見せていくことで,味方になってくれたらもうけものだと思います。

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