|
個別教育計画のおおよその流れの続きです。 |
いろんな準備を整えて,いざ授業です。ここでは,指導の手だてを考えて教材を準備して,授業を行うということになります。授業の評価は,毎日毎日行って,目標や手だての微調整を並行して行います。 親の参加というキーワードはここでも有効で,授業にどんどん親を巻き込んでいく,あるいは学校での学習の様子をリアルタイムで家庭に伝えて,情報を共有すると学校での指導が家庭で生きてきます。 実際に指導の手だてを考えるときにためになるキーワードが,ABC分析と行動の3原理(強化/消去/罰)の二つです。【→語句の説明】 |
例えば,言葉のない生徒にコミュニケーションの楽しさを教えよう…という場合。こんな感じに指導場面を設定して,最後にその生徒が「うれしい!」と感じるように持っていきます。 |
「こちょこちょして」カードの場合,使っていい時間とよくない時間があるので,その区別が付かない生徒の場合は,このような先行条件をつくって分かりやすくするという手もあります。そして最後はやはり「うれしい!」でおわります。 |
ABC分析は問題行動の理由を考えるときにも有効な場合があります。教師が指導しているつもりで,実はその問題行動の継続に一役かっているというのはよくある話で,そういう場合もABC分析をすることによってその悪循環から逃れることができます。 |
次に行動の三原理(強化/消去/罰)。世の中の人間や動物は,みんなこの原理にしたがって活動しています。先ほどのABC分析の中で,最後を必ず「うれしい」にするというのは,行動の三原理の中の「強化」の仕組みを利用しているわけです。 この中で,消去と罰の二つはほとんど同じではないかと思われるかもしれませんが,実は大きな違いがあります。罰には消去に比べてよい点と悪い点があります。よい点は即効性があるところ。その行動をすぐにやめさせる必要があるときには罰の原理を応用して,早い話「厳しくしかる」のが有効です。しかし,同じ罰を何度も使っていると耐性がついてより強い罰が必要になったり,罰が無くなると行動がすぐに戻ったりしてしまうという「副作用」があります(怖い先生がいなくなると…)。したがって,教師の指導テクニックとしては,普通は「強化」と「消去」だけにとどめておきたいものです。 また,教材の中味や提示の仕方を考えるときに有効なのが「構造化」という考え方です。 |
|
1年間の指導を終えて,年度末に1年を振り返って評価を行います。次の年度の指導につなげるために,次年度の担任にはもちろん,親にもその評価を分かりやすい形で返す必要があります。 |