MAP研究会は,(財)カメイ社会教育振興財団
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= 希望者研修会(源流の森)・活動報告 = (Sphinx)

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1.1日目

(1)ブリーフィング

#おいしょの話を要約します。要約というよりは意訳になってます。

 今日は,いつものゲーム中心ではなくて,エレメント中心でやっていきましょう。ゲームだけではなかなか活動に乗ってこない人たちがいます。グループから数歩離れて立っていたり,「こんなのつまんないよ」などと言ったりします。こういう状況で,エレメントがどう役に立つのか,今回の研修でその雰囲気をつかんでください。

 人間は,馬やサルと同じように「群れ」をつくって生活する動物です。群れる動物は基本的には弱いのですが,それなのに長く生きながらえているのにはわけがあると思います。それは危険が迫ったときに協力しあう本能的な性質があるんじゃないだろうかということです。

 アドベンチャー活動とは,意図的に「危機」を作り出すことによって人間が本来持っている「協力」の本能回路のスイッチを入れる効果があります。一度スイッチが入ると,さび付いていた回路が動き出し,いろんな場面でその回路が活用されるようになります。これが,信頼関係づくりのきっかけになるのです。

(2)アクティビティ研修(午前)

 センターハウスから「冒険の森」に移動。まずはじめに冒険の森のハイエレメントをいろいろ見学しました。

冒険の森の看板
 予想以上に高いハイエレメントを見つめながら,心のなかでそれぞれ自分の目標設定をしたようでした。ひとしきり眺めたら,さっそくアクティビティの始まりです!

★インパルス

 アクティビティ研修の1発目はインパルス。円陣になってジェスチャーをまわしていくアクティビティです。おいしょ(注;林さん)がスタート地点。おいしょが手を1回たたく→隣の人がたたく→その隣の人がたたく…というふうに1周します。まずは速さを追求してできるだけ早い時間で1周するように挑戦。

 次は動きを変えて,手を2回たたく(バージョン2),手を2回たたいて足を1回ドンと踏みならす(バージョン3),手を2回たたいて足を2回ドンと踏みならす(バージョン4)という感じで複雑にしていきます。最後は,それらをランダムに組み合わせて,隣の人の動きに注意しながらいろんなインパルスがまわるというゲームです。アイスブレーキングとウォームアップですね。

★ミラーストレッチ

 二人組で向かい合って立ち,足は少し開いて前後に構えます。二人で両手を合わせて鏡のようにいろんな動きで一緒にストレッチをします。腕をなるべく遠くに伸ばすようにします。ウォームアップです。

★ウインドミルストレッチ

 二人組で今度は背中合わせになって立ち,二人で手をつないだまま腕を大きく回転させてストレッチをします。(ウォームアップ)

★ブラインドペアタグ

ブラインドペアタグの活動風景

 ペア(二人組)になって行う鬼ごっこです。ペアの片方は目を閉じて安全装置(手のひらバンパー)を用意します。もう一人のほうが,言葉だけで相方を操縦します。鬼も目を閉じているので,たいていの場合は目を閉じた人がつかまりますが,ときどき目が開いた人もつかまってしまうことがあります。また,目を閉じる役はペアの間で適当に交代します。活動エリアはちょっと狭い感じに設定します。準備物は鬼の印のチキンとエリアを示す目印4つです。また,安全上の注意として急激に動かない(走ったり,腕を振り回したりしない)という注意がファシリテーターからありました。(アイスブレーキング)

 振り返りでは,やってみてどんな感じだったか振り返りました。

 そこでファシリテーターから「こういう指示を出されると安心だったということはありますか?」と問いかけられ,

というような指示で安心したという意見が出ました。このアクティビティでは「目を閉じている人がどうすれば安心できる状況をつくれるか」という要素に注目できます。目を閉じているという不安な状況は,グループに心を開いて参加するのが不安な状況の比喩で,そこをどうサポートしたら安心してもらう(こころの壁の高さを下げることができる)か,あるいは自分でどう安心できる状況をつくるかということにつなげられると思いました。

★ホエールウォッチング

ホエールッウォッチングの活動風景

 午前中の最後のアクティビティはホエールッウォッチングでした。幅の広いシーソーのバランスを保ちながら,みんなで乗ったりその上で移動したりするイニシアティブです。このゲームは,もともとは車椅子の人が参加できるゲームということで考案されたものだそうです。そういえば,車椅子がすれ違うだけの広さがありますね。

 昔は鯨見物に行く船はいまよりずっと小さくて,鯨が見えてみんな一斉に移動すると船が傾いてしまったとか。このアクティビティの名前はそのへんに由来があるそうです。今回はもう少し臨場感を増すために,この幅広のシーソーを「難破しかけた船」にたとえました。難破しかけているのでバランスを崩すと本当に沈没してしまいます。みんなは海に投げ出されているので,まずは船にみんなであがろう!という場面設定です。

 ファシリテーターからはアクティビティに取り組む前に安全上の注意としてシーソーに足を挟まれないようにという注意がありました。また,ディブリーフィングでは

という質問が出されました。その後の話し合いについては省略します。

◆ お弁当が届かない事件! ◆
 さあお昼にしようとセンターハウスに戻ってきた私たちを待っていたのは,お弁当の注文に手違いがあってお弁当がないという事実!がーん。しょうがないのでみんなで近くの食堂に食べに行きました。何を食べてもいいよというおいしょのひとことで,やまめ定食A(2000円),焼き肉定食(1000円)など,みんな張り切って高額商品に手を出していました。

(3)アクティビティ研修(午後)

★ネームトス

 午後はもう一度アイスブレーキングから。ネームトスは,チキンを投げ合いながら相手の名前を呼び合うアクティビティです。まずは円陣になって自分が呼ばれたい名前を発表します。みんなが発表し終わったらネームトスのスタートです。「おいしょ」と呼びかけておいしょにチキンを投げます。おいしょはチキンを受け取ったら「さくら,ありがとう」とお礼を言って,つぎに「Bob」と呼びかけてチキンを投げます。こんな感じで続けていきます。名前が分からなくなったら,相手に聞きます。

 しばらくやったら,円陣を大きくしてやってみて,次に投げた人が一歩前にでるというルールでだんだん輪を小さくしていき,狭くなったらひそひそ声でやってみたりして変化をつけます。

★ニトロクロッシング

ニトロクロッシングの活動風景

 次はイニシアティブのひとつ,ニトロクロッシングです。写真では分かりにくいのですが,こちらと向こうに2つの台があって,その真ん中にぶら下がれる程度のひもがたれ下がっています。台と台の間は「毒の底なし沼」で,沼に落ちたものにはすぐに毒が回ってしまいます(人でも物でも)。沼の向こうには心臓病で苦しんでいる象がいます。その象に今すぐバケツ一杯のニトログリセリンを届ける必要があります。しかも,それを象に飲ませるためには全員の協力が必要なのです。バケツの中味はニトログリセリンなので,沼や台にこぼすと大爆発してしまいます。1滴もこぼさないで全員がこちらの台から向こうの台に渡るというのが課題です。

 垂れ下がっているロープ(これはツタに見立てます)の他,身につけている物を使っていいことにします。ツタは台から届かないところに垂れ下がっているので,まずはどうにかして沼に落ちないようにしてツタをたぐり寄せる方法を考えなければなりません。うまくツタをつかんだら,それを利用してニトロと人間を向こうの台に運びます。ツタの一番下は,輪になって足をかけられるようになっているのですが,安全上の注意点として一番最初の人は輪に足をかけないという指示がでました。

 やってみたらツタをとるのはすぐに成功したのですが,ニトロをこぼさないように運ぶ手だてについて,積極派と慎重派に別れてしまって議論の収束に時間がかかりました。結局は積極派が押し切る形で「まずやってみよう」ということになり,それで見事成功するのですが,合意形成に時間がかかったということと,慎重派が納得しないまま事態が進んでいったという反省がディブリーフィングで出ました。

 また,このアクティビティを体育館でやる場合,跳び箱の一番上の部分を台にして(必要なら2台つなげて),その周りにマットを敷き,体育館の天井からぶら下がっているロッククライミングロープをツタに見立てて行うことができるということでした。

★モホークウォーク

モホークウォークの活動風景 モホークウォークの模式図

 6本の支柱に張られたワイヤーの上を,みんなで協力して渡るアクティビティ(ローエレメント)です。支柱と支柱の間隔はだんだん広がっていき,難度が増していきます。ワイヤーの下はもちろん「毒の底なし沼」です。ワイヤーに乗っている人同士はどんなに協力してもいいのですが,下にいる人はスポッティングだけしかできません。

 ファシリテーターからは次のような安全上の注意点が伝えられました。

 やってみたところ,手をつないでいると予想以上にワイヤーの上でがんばって立っていられるということが分かって,みんなで驚いていました。しかし,最後のワイヤーの部分(テンショントラバース)はどうしてもクリアできずに時間切れになりました。

 どうしてもクリアが難しそうなときは「天から魔法の杖が降りてくる」という設定で長めの木の枝を補助具として与えることもあるそうです。魔法の杖は沼の毒にも耐えられるので,毒の底なし沼にさして使うことができます。その場合,ただ与えたのでは簡単すぎるので「その杖は進行方向には進めるけれども,バックはできない」というルールを付け加えるのだそうです。

 また,このアクティビティの名前になっている「モホーク」というのはアメリカ先住民族の「モホーク族」に由来します。彼らはとてもバランス感覚がよくて高いところでも平気なので,ゴールデンゲートブリッジをつくるときにとび職人として大活躍したのだそうです。モホーク族になったつもりでワイヤーを渡っていくわけですね。

(4)座学(夜)

 民宿に帰ってお風呂を浴びて,心のこもった夕食をたらふく食べたあと,一つの部屋で丸くなって勉強会を行いました。まずは自己紹介。名前と一緒に,今回の研修における自分のゴール設定についてと,今までの人生の中の最大のアドベンチャーについて語りました。人生最大のアドベンチャーは「結婚だ」という人が多かったです。(^_^)

 そのあと,おいしょからファシリテーションについて話を聞きました。

 そのあとで,しゅうちゃんが持ってきたアクティビティの道具箱(何て言うんだっけ?)からいろんなものを出して,いくつかのアクティビティをみんなで紹介しあいました。


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