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 中学生・高校生による全国防災ミーティング
 パネルディスカッションより(1/5)

2012年12月22日(土)〜23日(日)に,国立花山青少年自然の家を会場に「中学生・高校生による全国防災ミーティング」が開催されました。宮城・岩手・福島の被災三県に加えて,兵庫県,滋賀県,岡山県,和歌山県の中高生150名以上が集まって,防災について語り合いました。私はパネルディスカッションのパネラーとして参加しました。そのときにお話しした内容を掲載します。

表紙

はじめに

宮城県立光明支援学校の山口です。私からは地震災害について4つの視点からお話をします。

群盲象を表す

群盲象を評すというインドのお話を知っていますか? 目の見えないお坊さんが,象について自分の意見を主張するんです。一人が「象はうちわのようなものだ」と言うと,別な人は「いやいや,象は太い柱のようなものだ」,又ある人は「象は細いムチのようなものだ」と言った。そしてお互いの意見を譲らずに言い合いになった…というお話です。 どうしてそうなっちゃったか,分かりますか?

象のいろんな部分

それぞれ別なところを触って話をしているんだよね。うちわと思った人はどこを触った? 太い柱と思った人は? そう。誰も間違っていないけど,みんな自分の触った範囲でしか考えられない。物事を考えるときに,私たちはある視点からものを見ます。それをフレームということもあります。このお話から学べることの一つは…

真実は多面的

「真実は多面的である」ということです。

多様な視点の必要性

だから,一つの視点だけでは,真実の一部しか見えない。いろんな角度からものを見ることで全体像に近づくことができます。チームで課題に取り組むと,メンバー一人一人が違う角度からものを見ているので,多様な視点をもつことができるわけです。ここに集まったメンバーも,地域や年齢など多様なメンバーがいますよね。その多様な視点を大切にしてください。

それで,ここからは私の中にある4つの視点を皆さんに紹介します。

地球の視点

地球の視点

最初は「地球の視点」です。

地球は宇宙の中に浮かぶ一つの星です。宇宙が誕生したのは137億年前,最初は手のひらよりずっと小さい宇宙だったと言われています。この手の中に,今の宇宙が全部入っていた。それがどんどん広がって,その中に星や銀河が生まれました。

その宇宙の片隅に地球ができたのが45億年前,そして海や生命ができたのが40億年前。それからずーっと時間が経って,700万年前に人類の祖先が誕生したと言われています。

700万年前というとずいぶん昔と思うかもしれないけど,45億年を1年間に縮めたとすると,人類が誕生するのはいつぐらい? 大晦日のお昼頃になります。1月1日から12月31日のお昼まで,地球の歴史の中に人間は登場しません。

人間が生まれるずーっとずーっと昔から,地震や津波はありました。私たちはいまそれを人間目線で「災害」と呼びますが,地球にとっては,雨が降ったり風が吹いたりするのと同じような,当たり前の自然現象です。私たちの感覚で言えば,コホンと一回咳払いをしたぐらいのものです。その小さな咳払いで,人間の運命が右に行ったり左にいったりします。

地球の視点から見ると,人間の存在は小さく感じられますね。


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