中学生・高校生による全国防災ミーティング
パネルディスカッションより(3/5)
3つめは災害弱者の視点です。
災害弱者のことを,今は「災害時要援護者」と呼ぶことが多いです。
災害があったときに,援護が必要な人たちということですが,災害の情報を得られなかったり理解できなかったり,避難の行動が難しかったり,あるいは助けて欲しくてもそれを意思表示できない人たちです。例えば,この中の障害者の人たちが,今回の震災でどうだったかというと…
こうでした。健常者より障害者のほうが2.5倍,亡くなる率が高かった。障害にもいろいろあって,車椅子の人や目が見えない人は移動が難しかったり,耳が聞こえない人は防災無線やラジオが聞こえなくて避難の呼びかけが伝わらなかったり。
ここにいる皆さんも,やがて老人になると立派な災害時要援護者です。東北の田舎は超高齢社会で,ある意味,日本の未来を先取りしている,つまり要援護者だらけなんですね。これからの防災は,この災害時要援護者の問題を避けて通れません。
災害時要援護者には,地震や津波から避難するときの問題に加えて,その後に長く続く避難生活にも困難があります。今回の震災でも…
そんな時に,近所の人が「代わりにもらってきてあげる」と列に並んでくれたり,情報を教えてくれたことが,一番頼りになったと言うんです。
災害時には自助・共助・公助の3つが大切と言われますが,災害時要援護者にとってもこの3つが大事です。自分ができる準備はしておく,それが自助。その上で,災害が発生したときには,近所の人に避難を手伝ってもらう。
そのためには,自分のことを知ってもらう必要があるよね。地域の清掃とか防災訓練などにちゃんと参加して,普段の日常生活で互いに顔見知りになっておくことが大切です。障害者の場合,偏見の問題もあって,なかなか難しいことなんですが。
実は今回の震災で,障害のある人の死亡率が,健常者とほとんど変わらなかった町があります。石巻市の牡鹿地区です。ここでは,普段から地域の防災訓練に,高齢者や障害者も参加しているんだそうです。