MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
■ 日 時: | 2013年11月10日(日) 10:00〜16:00 |
■ 場 所: | 国立花山青少年自然の家 |
■ 内 容: | 書籍「クラスの絆が深まる楽しい活動集」を使ったMAP講習会 |
■ 担 当: | 企画委員 |
■ 報 告: | みっちぃ |
■ 参 加 者: | 15名(?) |
今回のワークショップは,前日に行われた「MAPLS」とのつながりも意識して開催されました。前日は,PAJのアンディと一緒に,ファシリテーターとしてのスキルアップについて研修しました。そこでの学びも生かしつつ,実際にFTの経験をすることによって,さらに研修を深めようというねらいもありました。
ワークショップとしてのイベントですから,もちろん参加者に学んでもらうことが一番です。ただ,その中で,ファシリテーターとしての学びも大切にしたいということで,アンディから提案がありました。それは,ファシリテーションを実際にやったり,それを外側から見ていて気付いたことや考えたこと,疑問点などを,付箋紙に書いて模造紙にどんどん貼り付けていく,という提案です。参加者には何のことか分からない掲示物になっているわけですが,MAP研のメンバーでそれを共有しながら,我々の最後の振り返りに使おうというわけです。アンディからもたくさんのフィードバックをもらいました。
続々と集まる参加者の皆さん。受付後にエンブレムを作ってもらいました。今回は,自分の手形をとって,てのひらの部分に「呼ばれたい名前」,指には「名前」「マイブーム」「MAP経験」を書いてもらいました。残った2本分の指には,最後に自分の学びを書いてもらうために空けてあります。
いっきゅうさんのファシリテートでスタート。まずはFVC(フルバリュー・コントラクト)などの約束事の確認。またその中で,震災復興,心の復興という視点での,MAPの役割について話しました。
「心の復興と言うと,今でも仮設住宅にいる人や,家族を亡くしてつらい思いをしている人ばかりを考えるが,支援が必要なのは,沿岸部だけに限ったことではない。今,普通に生活している人だって,あの3.11の時はみんな大変な思いをしていたんだ。MAPが特別な人にだけ有効なプログラムではないと思っている。」というような話があって,なるほど,と思いました。
いよいよ活動がスタート。親指メーターで体調をチェック。さすが自分から参加する方々。モチベーションも高いようです。
ウブンツカードは,トランプのような大きさのカードです。そこには,様々な種類の絵がかかれています。道具,植物,動物,乗り物・・・など1枚のカードに10種類くらいの絵がかかれています。このカードを使って,ウォーミングアップです。
まずは自分が持っているカードの中から,1枚を選び,相手を誰か見つけます。そうしたら,「せーの」でカードを見せ合います。その中から,自分と相手の共通した絵を見つけて素早くコールする,というアクティビティです。たくさんの絵があるのに,なぜか誰とやっても共通する絵は1つしかない,という不思議なカードです。参加者からも少しずつ笑顔と声が出始めました。
ウブンツカードの使い方は他にもいろいろバリエーションがあります。こうやってカードを使うと,特に面倒な言葉とか必要ないし,ルールも簡単なのでいいですね。
少し緊張がほぐれてきたところで,エンブレムを使ってのペアトーク。前日の打ち合わせでもいろいろ考えたのですが,「エンブレムを書いてもらったのなら,それを生かす場面があった方がいいよね。」とか,「時間はかかるんだけど,こうやって対話するのって大切だよね。」などという意見が出て,取り入れることにしました。楽しそうに会話する参加者の表情を見て,こうやって,お互いを知り合う活動って単純だけど大切だなあと思いました。
名前を呼び合うことを大切にしたい,ということで定番のネーム回し。時計回り,反時計回り,場所替えして,といろいろなパターンでやりました。その後,フリースボールやチキンを使ってのネームトス。いろんな道具が輪の中を飛び交いました。
これは,英語のゲームで定番の「サイモンセィズ」と同じルール。ファシリテーターが「ロボットさん,ロボットさん・・・」と最初に言ったときだけ,命令に従うというものです。エラーを楽しむ雰囲気ができてきました。そして,命令の中に「手をつなぐ」ようなものを入れることで,自然と次の活動に入ることができます。
ロボットさんの流れで手をつなぎ,前後左右に。素直な子バージョン(復唱も動きも一緒),反抗期バージョン(復唱も動きも逆),ひねくれものバージョン(復唱は一緒,動きは逆)と発展し,みんなでエラーを楽しみました。
ここで新?アクティビティ。これは,他の研修で教えてもらった「餃子ジャンケン」のパクリ(笑)。餃子の場合は,パー(皮),グー(肉),チョキ(ニラ)なのですが,シューマイの場合はチョキがグリーンピース(ピースだからね)。ただそれだけの違いです。
ルールはこうです。3人以上でジャンケンをして,グー,チョキ,パーの3種類が出たらみんなで声を揃えて「いただきます!」と言います。もしグーとチョキだけだったら「皮がなーい!」(以下,足りない具があった場合は同様),全員がグーだったら「肉しかなーい!」(以下,同じ物が揃った場合は同様)と言います。
かなりばかばかしいけれど,何だか楽しいのです。コミュニケーション,ディインヒビタイザーの要素もあるし,ジャンケンは勝ち負けを決めるためだけの道具じゃない,っていうことを伝えるのにも効果的なアクティビティです。ちなみに,その日の昼食にシュウマイが出ました。奇跡だ!
人数分のスポットマーカー(番号入り)をフィールドに置きます。1人1人がどれか1つのマーカーの上に乗ります。片足だけでは不安定なので,他のマーカーや,セーフティースポットとして置かれたいくつかのマーカーを利用してもOKです。まずこれで準備完了。そして,その後,条件に合わせて場所を入れ替える,というアクティビティです。ルールは,TPシャッフルやラインナップと同じようなものですね。ただ,こちらの方が全員で情報を共有しやすいなと感じました。かなり密着度があるアクティビティですが,自然と体を支え合う姿が見られました。これはアンディが考えたアクティビティです。
続いて,定番のマシュマロリバー。オリ室の壁沿いに設置したコースを使います。人数分より少ないマーカーを頼りに,川を渡っていきます。マーカーは,誰かが触れている状態でなければ消えてしまいます。先ほどのBAN・GO!とは違い,情報が伝わりにくいということもあって,かなり苦労しています。途中で計3枚のマーカーが流され,万事休す,と思いましたが,見事課題をクリア。参加者の心の距離がぐっと縮まりました。その後,少しゆっくり振り返りの時間を取りました。
午後の初めはアンディのファシリテートでスタート。アンディの「お昼ご飯の後ですからね,あまり激しい運動は・・・しますよ~」ということで,いきなり「めちゃぶつけ」から。我々の背中にはやる気スイッチがあるのだけれど,自分では押せないので,フリースボールをぶつけてやる気スイッチを入れてあげよう,という設定。みんな,一気にやる気モードへ突入です。
そのままの流れで,今度は2人組になります。1人は目をつぶり,ペアの人が後ろから声だけで指示を出します。逃げる方は鬼につかまらないように誘導するわけですが,誘導する方も鬼にタッチされたらアウトです。誘導に夢中になっていると,目をつぶっているはずの鬼に,目を開けている誘導者が捕まるという面白いことも起こりました。
今度は,カードを使ってのペーパータグ。手の甲にカードを乗せて,それを落とされないようにします。みんな鬼であり,みんな逃げ手でもあります。乗せるカードは,つい先頃PAJから発売された「しるらないカード」。このカードには,何とも言えない味のある絵が描かれています。言語化するのが難しい自分の気持ちをカードが代弁してくれる,そんな魅力のあるカードです。抽象的なイラストは,いろいろなとらえ方ができるので,振り返りの際に,フルバリューカードと同じように使えます。
ペーパータグの時には,まずはじめに「学校での自分」を表すカードを選び,それについてペアトークをしました。そのカードを使ってペーパータグがスタートします。カードを落とすときには息を吹きかけて落とします。カードや体に触れてはいけません。カードを落とされたら,その場で動けなくなります。
次に「個人的な自分」を表しているカードを選びました。これについては,シェアしません。個人的な自分は言いたくないこともあるから,ということでした。このカードを使った時には,動けなくなった人にカードを乗せて,助けてあげるバージョンで行いました。
アンディからは,個人的な自分を表すカードを乗せてあげることが,周りにはさらけ出していない個人的な自分のことも理解してくれて,困ったときはさりげなく助けてあげる,という比喩にもなる,ということを教えてもらいました。
この後は,イニシアティブ系のアクティビティが続きます。まずは,あやとり。全員で輪になって手をつなぎます。これがノーマルな形。その他,内側を向いたまま手がクロスする形,全員が円の外側を向く形,外側を向いたまま手がクロスした形,の計4種類の形を作ります。ただし,手を離してはいけません。
このあたりでは,積極的に作戦を考え,自分の意見を言葉に出す積極的な姿が目立つようになってきました。あれこれやっているうちに見事4つの形をクリア。その後,タイムチャレンジでどのくらい記録が伸ばせるかに挑戦しました。やるたびに記録を更新し,最後のトライでは最高記録を更新。歓声が響きました。
ここでアンディが「今からセメントをかけますから,今の自分の気持ちをポーズで表して!」と言いながら,セメントをかける真似をします。メンバーは思い思いのポーズをとって喜びを表現していました。その後,ここまでの活動について振り返り,次の活動に生かせそうなことは何か,みんなで考えました。
ここからはいのきがファシリテート。チョイスしたのはアースボール。今回のルールは,1人が2回だけボールに触れて(ただし,2回目に触れるのは全員が触り終えてから),最後の1人がオリ室の窓からボールを出す,というもの。スタートラインは決めていなかったので,窓のそばでボールをやり取りする形で行いました。このチャレンジは,結構あっさりクリア。物足りなさを感じ取ったのか,いのきが「これで終わりにしますか?」と投げかけます。メンバーは,もっと難易度を上げて挑戦したいということで,スタートラインを決めて,そこからボールを運ぶ形で再挑戦です。最後の最後でなかなかクリアできない,ということが続きましたが,見事クリア。本日一番の盛り上がりだったかもしれません。
続いては,アイランズの室内バージョンです。スタートの島から2つ目の島へ行くのは,なんとかクリアしたものの,ゴールの島にはなかなかたどり着けません。メンバーの様子を見ていると,ちょっと疲れも見られます。集中力も切れかけている感じもありました。結局,設定した時間内にクリアすることができず,活動は終了。
その後の振り返りの中でも,少し集中力が切れていることが自分たちでも分かっていて,成功する雰囲気ではなかった,というような声も聞かれました。ここでちょっとブレイク。
最後の活動は,かんちゃんがFTを担当。前日のMAPLSでは,トラスト関係の活動をやることがほとんどなくなっていることが話題になりました。でも実は,スポッティングをすることって大切だよね,という話も出ました。体育の実技講習会でもスポってイングのやり方について触れていたそうで,これからはちょっと意識して取り入れることもありかもしれません。
最後に予定しているジオクロッシングは体の支え合いが必要なため,トラスト,スポットのやり方を学びました。体を前後に倒してそれを支える活動を丁寧に行いました。そしていよいよ最後の活動です。
これは多分みんな初めてのアクティビティではないかと思います。黄色いバーを組み立てると,でっかい立方体ができあがります。その1つの頂点を丸い枠の中に入れてバランスを保ちます。言葉での説明が難しいので,写真をご覧ください。
ルールは,スパイダーウェブと似ています。立方体の枠に触らないように,全員が通過すればクリアというアクティビティです。自分がどの面からどの面に向かって出たいかを決めます。自力で通過できるルートもありますが,誰かに支えてもらわなければ通れないルートもあるわけです。しかも,誰かが使ったルートは他の人が使ってはいけません。それから,枠に触れてはいけません。というか,少しでも触れるとバランスを崩して倒れてしまうのです。そうなったら,また1人目からやり直しです。
体を支え合うことに関しては抵抗はないようですが,ちょっとでも枠に触れると倒れてしまうので,相当な集中力が必要です。3~4人目まではスムーズにいくのですが,その後がなかなか続きません。結局,このアクティビティもクリアには至らず。イニシアティブ系の活動が続いた午後ですが,後半はなかなかすっきり終えることができず,ちょっと残念そうでした。でも,こういう経験から学ぶことも多いのではないかと思います。
最後に,エンブレムを使って振り返りを行いました。ソロになって,最初に作ったエンブレムに書き込みをしていきます。2本分の指があいているわけですが,今日の学びと学校に持ち帰れそうなことの2つについて書きました。そしてそれを使って,全員が一言ずつ話しました。
最後に,いっきゅうさんがしっとりと活動のまとめをしてワークショップは終了。モチベーションの高い参加者の皆さんのおかげもあって,とてもいい1日になりました。
最初にお知らせしたとおり,ワークショップと並行して,我々のファシリテーターとしての気付きや思いを付箋紙に書いて貼り付けていました。それを使って,最後にMAP研メンバーで振り返りを行いました。前日の学びをファシリテートに生かしつつ,活動の途中に自分の気付きを忘れないうちに書き込んでいくというのは,とても良かったです。実際のファシリテートを,プロの目で見てもらうっていうのはとても貴重な機会だと思いました。
いっきゅうさんは,自分のファシリテートについて,次のような気付きをまとめています。
また,ワークショップの全体的なシークエンスについては,参加者の様子をみながら臨機応変に変えていくことが必要だったかも,という振り返りもありました。でも,前日からいろいろ悩んで考えたシークエンスですから,それをやってみた,というのは良かったと思います。ファシリテーターがいろいろ変わる形についても,良い点と悪い点がある,という話もありました。でも,こういう研修の仕方もありだな,と個人的には思いました。
以上,報告でした。
○クラスの絆が深まる楽しい活動ワークショップ・夏編の活動記録はこちら!
→ http://hiroy.kir.jp/map/report_data/2013/ken13_2.html
○この体験会の前日に行われた MAPLS の記録はこちら!
→ http://hiroy.kir.jp/map/report_data/2013/ken13_3.html
○しるらないカードのFacebookページはこちら!
→ https://www.facebook.com/shiruranai