MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
■ 日 時: | 2013年 8月17日(土) 10:00〜16:00 |
■ 場 所: | 富谷町 成田公民館 |
■ 内 容: | 書籍「クラスの絆が深まる楽しい活動集」を使ったMAP講習会 |
■ 担 当: | 運営委員 |
■ 報 告: | Sphinx |
■ 参 加 者: | 25名(+スタッフ8名) |
夏休み特別企画「クラスの絆が深まる楽しい活動ワークショップ」を開催しました。このワークショップは,昨年11月に出版されたMAP研究会編著『クラスの絆を深める楽しい活動集』(学事出版)をもとに,MAPのアクティビティを執筆者のファシリテートで実際に体験しながら学んでいくという企画です。
参加者を募集した直後から反響があり,申込みは定員を上回るほどでした。今日は25名の参加者の皆さん(仙台市や宮城県内の幼小中高等学校の教員+大学生)と8名のスタッフ(MAP研究会会員)で,充実した時間を過ごすことができました。
活動が始まる前に,参加者の皆さんに自己紹介カード(エムブレム)を書いていただきました。MAP初体験という方がほとんどです(今回は仙台市の学校の先生方が多く参加してくれました)。また,「学級づくりに活かしたい」「仲間意識を高める方法を知りたい」など,目的が明確で意欲的な先生方でした。
アクティビティ名の後ろのページ表記は『クラスの絆を深める楽しい活動集』(学事出版)の関連するページです。
お互いを最大限に尊重するということを約束してください。具体的には4点,お願いします。一生懸命に取り組む,ルールを守る,安全に,楽しんで。
自分のことだけじゃなく,周りの人たちがどうなってるかにも意識を向けてみましょう。
「観客の前で歌を歌う」など,いくつかのお題について,自分にとってドキドキするチャレンジレベルなのか,それほど緊張せずにできるレベルなのかを立ち位置で表現しました。
人によって同じ活動でもCゾーンだったりストレッチゾーンだったりします。自分の気持ちに合わせて,これからの活動もチャレンジ・バイ・チョイスでお願いします。
腕を交互に伸ばして両手はグーとパー。最初は伸ばした腕がパー,縮めた腕がグー。「はい」と言われたらチェンジ(伸ばした腕がグー)。「はい…はい…はい…」でだんだんわけが分からなくなって,笑って終わり。
これからの活動中にもエラーが起こります。今のように笑い飛ばして行きましょう!
1回目は「呼ばれたい名前」の50音順。並び終わったら,グルッと全員名前だけ自己紹介して,名前でインパルス。2回目は,今日この会場に来るのにかかった時間。こちらは無言で。
ここに来て,だいぶ参加者の皆さんも和んだ感じ。楽しそうな声や笑顔が見られるようになってきました。2回目は「2年生に進級した」ということで,足し算ではなくかけ算で挑戦しました。
2人で → 4人で → 8人で → 全員で!
(ちょっと休憩)
自己紹介カード(エムブレム)を使って自己紹介。自己紹介が終わったらエムブレムを交換して,相手になりかわります。私は誰? 本当の私はどこ? 活動が終わったら,エムブレムを本人の元にお届けしました。
(エンブレムを掲示して,水分補給)
2グループに分かれてネームトス。名前を呼び合いながら,毛糸玉を投げ合う活動です。毛糸玉が1個から2個になり,イルカが加わり,チキンも出てきて,だんだん混乱してきました。途中,血液型でグループをチェンジしたりして,できるだけ多くの仲間の名前を覚えられるように配慮しました。みんなの笑顔がはじけています! 最後に1つの輪になって,一人ずつ順番にみんなから名前を呼ばれて終了。30人以上のニックネームを,みなさんあっと言う間に覚えましたね。
自分の周囲にいる人の名前を早くいう活動です。出題者は「右,左,あなた,わたし」と指示します。時間内に言えない,間違うなどのエラーが起こったら,出題者に回ります。
ジップザップとLRネームネームをミックスして,出題者からいろんな指示がでます。大混乱〜! エラーが楽しい。間違いを笑い飛ばす体験,子どもたちにもさせてあげたいですね。
自分の心の中でひっそりと天使と神様を一人ずつ決めます。天使と神様と自分が,自分を中心にした二等辺三角形になるように移動してください。ダダダ…とみんなが移動して,やがて落ち着いてきます。みんなが止まったところで,今度は,自分を中心にした一直線になるように動きます。どんどん集まってきて…「う〜ん,暑いのでやめましょう!」。
(休憩)
休憩中に,壁に貼ってある参加者のエムブレムを熱心に読む姿が見られました。
名前を呼ばれたら,ドーナツ(ラバーリング)が回ってる間に取りに来て,次の人の名前を呼びます。ドーナツが2つ,3つと増えると,同時に二人から名前を呼ばれて慌てる人も。
誰が呼ばれて,誰が呼ばれていないか? そういうことも,クラスを見る目としてあるといいですね。
午前のラストは,課題解決のアクティビティ「キーパンチ」。地球の危機を30個のボタンを押して救えるか??
1回目のチャレンジは,タイムが52秒だったけど踏み忘れがあって記録なし。ファシリテーターからは「こういうエラーが起こりますので,どうやったらより早く,正確にできるか,もう一度作戦を練りましょう」とアドバイス。
2回目はエラーなしで55秒。最終の3回目のチャレンジでよりよいタイムを目指し,入念に作戦を練りました。目標は50秒を切る!
3回目,エラーでマイナス4点,タイム42秒,合計46秒。目標達成です。「おーっ」というどよめきと拍手が起こりました。
3〜4人のグループを作って,今の活動で「見えたこと,聞こえたこと,感じたこと」をシェアして,それを全体で共有し,午後に持っていけるキーワードを探しました。
午後の活動は,場所を体育館から会議室に移して,教室の中でやっているような雰囲気で行いました。トップの活動は,小学校英語活動の素晴らしい実践で全国的に知られる kenya の英語教室から。
登場する動物は,rabbit,elephant,cow です。左の写真はどの動物か分かりますか?
"How is the weather?"
"It's ***."
の「***」に cloudy, sunny, rainy などを入れて聞かせて,それに対して Yes, No で答えます。聞かせる英語の音声は,iPad の Keynote というアプリに入っているネイティブの声です。
次は同じような活動をあいさつで。ホワイトボードに貼った太陽の位置で時間を示し,それに合わせたあいさつが合っているかどうか, Yes, No で答えます。それができたら,今度は太陽の位置に合わせて2人組であいさつをしました。BGMに合わせてペアを交代すると盛り上がります。
スピードラビットと同じように,3人組になっていろいろな英語表現をゼスチャーで演じます。ゼスチャーは,真ん中の人と両側の人は違うゼスチャーになるように,その場で参加者の皆さんに考えてもらってつくりました。
"How are you?"
"I'm ***."
の「***」にいろんな言葉を入れていき,それに合わせた三位一体アクションをします。写真は左から,angry, sleepy, hungry です。
"Can you play (the) ***?"
"Yes."
"Can you ***?"
"Yes."
では,piano, tennis, cook, swim などをしました。"Can you"と言った後ためをつくることによって,子どもたちがいろいろに考えて,例えば "Can you play the ..."と定冠詞がつくと「あのへんだ」などと予想してくるようになるとのこと。そうやってゲーム性を高める中で,エラーを気にしない(またこのフレーズ!)で英語に親しむことができるようになります。kenya には他に,「Change! 1,2,3」とか「How many ...」のワザも教えてもらいました。
4つのグループに分かれて,各チームが制限時間内で袋の外から触って,中に入っているものを当てるという活動です。分かったものから,紙に書いていきます。何度かチャンスが巡ってくるので,合間合間に作戦を立てるのがコツです。
最後に,袋から一つ一つモノを出しながら答合わせ。一つ出てくるごとに「お〜」とか「あ〜」とか「え〜」など盛り上がりました。全部で23個入っていました。
ファシリテーターのあややは高校の家庭科の先生。袋の中にはボビンや手縫い糸など,家庭科の道具がたくさん入っていました。授業の中で,ただモノを見せて名前を覚えさせるのではなく,分からないもの,見えないものへのワクワク感を利用したり,触るなどの五感を使うことによって,生徒の取組が変わってくるとのこと。その方が覚えもいいそうです。
(休憩)
先ほどの活動のグループのまま,次の活動に進みます。グリッドは,チームで協力して迷路の中を進んでいくアクティビティ。一歩踏み出さないと,その道があっているか間違っているか分かりません。
グループごとに振り返りをしました。
振り返りの後に,ビーイングについてお話ししました。
今の振り返りでいろんな意見が出ました。体験を通してみんなで気付いた学びを言葉にして,模造紙に書き込んでいくと,それがそのチームの約束(ルール)になっていきます。それを「ビーイング」と言っています。
皆さんのクラスでも学級目標をつくると思います。MAPのメンバーの多くは,学級目標を4月につくりません。クラスの中でいろんな経験を積み上げてから少し時間を置いてつくることによって,子どもたち自身の言葉で,目標やクラスの規範を作っていくことができるのです。
今日は私たちの出した本「クラスの絆が深まる楽しい活動集」からいくつかの活動を紹介していますが,もう一冊,オススメの書籍を紹介します。それがこの「クラス全員がひとつになる学級ゲーム&アクティビティ100」です。著者の甲斐﨑博史先生は東京の先生ですが,東京都の震災派遣で南三陸町の入谷小学校に赴任して3ヶ月間支援をしてくれました。MAPの活動もいつも応援してくれています。今日はその中から,道場やぶり(たのも〜)を紹介します。
…という説明の後,みんなで道場やぶりを楽しみました。
"How many..." "Three!" ということで3人組に別れて,オセロ紹介をしました。3人で自己紹介をし合うアクティビティです。最初は自分の長所だけを1分ずつ交代でしゃべり続けます。他の2人は聞いているだけ。次は自分の短所を紹介しますが,今度は聞いている人にもちゃんと仕事があります。なぜ「オセロ紹介」なのかもそこで分かります。
この活動の中で,自分の短所を別な角度から意味づけしてもらうことによって,とても励まされるし,全体がポジティブな雰囲気になります。また,この活動は,高校の進路の学習でも使えます。自分の新たな面を知るという意味もあるし,履歴書やAO入試のエントリーシートなどを書くときに,この活動を思い出させることでうまく書けるようになります。
オセロ紹介に関連させて,指まわしもしました。人差し指を立てて頭の上にかざし,時計回りにグルグルまわします。それを回したままお腹の辺りまで降ろしてくると…。ちゃんと時計回りに回していますか? 皆さんの頭上に「あれ?」というクエスチョンマークがたくさん点っていました。
最後の活動はパイプライン。2つのグループに分かれて,それぞれのグループに「平坦だけど長い道」と「険しいけど短い道」を選んでもらいました。冷房の効いている会議室を一歩出ると,そこは熱帯の暑さ。汗をかきながらチャレンジです。
運んでいる大切なもの(ボール)が床に落ちたり指についてしまったらアウト,パイプ上で逆戻りしてしまってもアウト,ボールを扱っている最中は移動できないというルールです。パイプの接触は可としました。制限時間は20分。何度もエラーが起こり,その度にスタート地点まで戻ります。それでも両チームが制限時間ギリギリでゴール! 大歓声と拍手がわき起こりました。
いろんな写真と言葉のカードから,自分の今の気持ちに近いものを選びます。それをみんなに見せながら,今日の感想を簡単に述べていただきました。発表の順番は,右回りとかではなく,自分が言いたいタイミングで手をあげて。
皆さんの振り返りを聴きながら,今日がとても意味のある1日だったと感じることができました。これからの展開が楽しみです。
ちなみに,このフルバリューカードは,PAJ(プロジェクトアドベンチャージャパン)のホームページから購入することができます。小学校でこのフルバリューカードを使って実践をされた報告が,「いわせんの仕事部屋」というブログに掲載されています。いわせんこと岩瀬直樹先生も,今日私たちが学んだようなアクティビティを使いながら,子どもたちの体験的な学びを引き出している素敵な先生です。ぜひご覧になってください。
最後に,今日の活動の背景にある,いろいろな知識について簡単に解説しました。
最後に,タッキーがまとめてくれたアクティビティリストを掲載します。
すべてが終わった会場で,このアクティビティリストをデジカメに収めていく参加者の皆さんがたくさんいらっしゃいました。そのことからも,今日1日が素晴らしい日になったことが分かりました。
先日の河北新報には,宮城県の中学生の不登校率がワースト1だという記事が載りました。震災の影響とのこと。阪神大震災では,心のケアが必要な子どもたちが震災後3年〜5年に多かったと言われています。今,宮城県は震災後2年半です。3年目に向けて,潜在していた心の問題が顕在化してきたと感じます。
そういう子どもたちにはもちろんのこと,宮城県のすべての子どもたちにMAPを届けたいと願って,今回,震災後2回目のワークショップを行いました。今後も引き続き,このような活動を行っていきます。次の機会はさっそく11月に予定されています。今回参加された皆さん,また,これを読んで興味をもった皆さん,11月にお目にかかりましょう!