1997年7月24日〜7月30日
内容 |
宿泊先 | |
24日 | 移動日(仙台→信州) | 松代PA |
25日 | ●野尻湖ナウマンゾウ博物館 ・ブドウ畑の扇風機 ●北斎館 ●岩松院 ●気象庁松代地震観測所・松代地震センター |
ペンション コートミディ |
26日 | ●安曇野絵本館 ●FEDHAN安曇野オフ |
同上 |
27日 | ●八島湿原(霧ケ峰) ●美ケ原高原美術館 |
同上 |
28日 | ●安曇野ちひろ美術館 ●碌山美術館 ●穂高ドライブイン |
プチペンション アルテリーベ |
29日 | ●乗鞍高原〜畳平 ●さかた菓子舗のおやき |
ホテル ブエナビスタ |
30日 | ●美ケ原高原(美しの塔) | (帰仙) |
まず始めに,ナウマンゾウ博物館を訪ねた.博物館が開く前に,野尻湖の湖岸に行った.チャプチャプと小さい波が岸に打ち寄せていた(写真:中央の人物はAldo).この湖の下に,今でも何体ものナウマンゾウが眠っているんだ!博物館に入ると,まず目に入るのがオオツノシカの実物大模型.で,でかい!そして中央に目を転じると,目的のナウマンゾウの実物大模型.こちらは普通のゾウ並みだ.
ナウマンゾウ(写真)は,体長5m,高さ3m,体重5t.日本と中国の一部(中国大陸,黄海の海底)にしか分布しない.その分布からは,最終氷期に中国大陸から陸化した黄海を渡って日本へやって来たという足取りが想像される.その時代,野尻湖は平均気温が今より4〜6℃低い,現在の北海道北部に似た気候で,森にはチョウセンゴヨウ,コメツガ,ブナなどが茂っていた.ナウマンゾウは5万〜3万年前の地層から発見される.その地層からは,スクレイパーやナイフなどの石器や骨器も発見され,野尻湖人が野尻湖にゾウを追い込んで,そこで狩りをしていた様子が想像できる.
ナウマンゾウの化石が初めて発見されたのは1948年.地元の旅館を経営する加藤松之助さんが「湯たんぽみたいだ」と思って拾ったものが,小学校の校長先生から最終的には京都大学の先生に渡り,ナウマンゾウの歯であることが分かった.野尻湖発掘は,1962年の第一次発掘から現在まで十数回行われている.発掘現場は,博物館の近くの湖岸から150mほど沖合までの間.冬季に東北電力の水力発電のために湖面が下がるので,その時に現れた湖底を掘るのだそうだ.
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信州を車で走っていると,ブドウ畑とリンゴの木が目に付く.それらの畑の中に,扇風機のようなものがたくさん立っている.高さは木の2倍ほどだろうか.扇風機の羽根は,若干下向きになっていて,どうやらブドウやリンゴを扇いでいるらしい.どうして?と思って地元の友人に聞いたら「霜が降りるのを防ぐため」とのこと.風が吹いただけで霜が付かないなんて,何だか不思議….
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葛飾北斎の絵や版画を所蔵している.細かい描写に驚いた.潮干狩りの絵などは,たくさんの人を細かく丁寧に描写していて,まるで「ウォーリーを探せ」のようだ.美術資料やパンフレットで見るとペッタリとした感じだが,実物は質感があって,絵の立体感もすごい.(写真:パンフレットより)
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葛飾北斎の手による天井絵「八方睨み鳳凰図」が有名(写真:パンフレットより).本堂内の大間の天井に書かれた21畳の大きさの鳳凰の絵で,北斎が亡くなる前の年に描いたという.畳に寝転がって観覧する.
鳳凰とは,自分の体に植物が生えるほど長生きして,幸せを運んでくる鳥で,絵の中にも3種の植物(バショウ,ゴヨウマツ,月桂樹)が描かれている.
この天井絵は,北斎が書いてから150年の間,一度も補修していない.それなのにこんなに色彩・光沢が残っているのは,辰砂・孔雀石・鶏冠石などの鉱物性の絵の具を使ったからだという.
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象山地下壕から続く細い道を上っていくと,山の中腹にピンク色の細長い建物が見える.ここは,気象庁の松代地震観測所(→参考:観測所配置図).第2次世界大戦末期に建設された地下大本営予定地跡を利用して1947年に創設された地震観測・研究施設だ.ここの売りは,「ひずみ地震計」と「アレイ(群列)地震観測システム」特に,松代及びその周辺の8個所の地震計のデータを同時処理する「アレイ(群列)地震観測システム」では,微弱な地震波の検出や震源の決定ができ,それによって全地球的規模で精密な地震監視を行っている.
まず最初に,地下大本営に天皇が避難してきたときに,天皇が住まう予定だったお部屋を見学.柱には節のない立派な木が使われているようだった.畳とふすまは後で入れたものだそうだ.一般の見学者は,外からこの部屋をのぞき込むようになっている.一見して,どこかの旅館の一部屋のようだ.
松代群発地震の記録を見た後,観測所の職員室のようなところと観測室(コンピューターと記録装置がたくさん並んだ部屋)を見学した.アレイ(群列)地震観測システムのリアルタイムのデータ(記録装置に描かれた揺れは,ほとんど発破によるものだとか)や,コンピューター画面での解析の様子を見せてもらった(写真).松代だけは3方向のデータが表示されている.1方向だと分かりにくいS波の始まりが,他の方向のデータと突き合わせることで分かりやすくなるということが,初めて分かった.
その次に,小坑道の方に入り,いくつかの地震計を見せてもらった(写真).遠隔地の大地震では,短い周期のS波は減衰してしまうため,長周期成分のS波を観測する必要がある.計測震度観測装置という強震計(写真右)では,周期30秒ほどの地震の震度まで計れる.ちなみに,もっとも長周期の揺れは53分だそうだ.
懐中電灯を肩から提げて,大坑道へ向かう.入り口を入ってすぐ,東京大学の海洋研の超電導重力計の部屋がある(中はのぞけない).真っ暗な坑道の中には,いくつかの落書きが.ここを掘った強制労働の人が書いたものや,後世のいたずら書きが混然としている.
まずは,ひずみ地震計と水管傾斜計の部屋.奥行き100mだそうだ.ひずみ地震計は,温度変化を嫌うために地下に設置するのがもっともよい.この地震計は水管傾斜計と合わせて,大地震の直前の大地のひずみを計測しようとしているが,現在までのところ,地震の前に有意のひずみが観測された例はないとのこと.その他,STS1(6分程度の周期まで対応)などいくつかの地震計を見せてもらった.印象的だったのは,1tの重りをつけた昔の地震計(写真).重りを重くすればするほど,長周期の揺れに対応できるということだったが,それでも現在の最新式の電磁力による地震計には到底及ばない.
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雨がぱらつく中,長野自動車道で豊科インターへ.明日の安曇野オフの集合地点と会場を確認しながらペンションに到着.おしゃれな外観.お部屋は,テレビも何もないシンプルな構造.お風呂も,ログハウス風でおしゃれ.夕食は,フランス料理風でとてもおいしかった.
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森の小道を入ったところにある洋風の建物が,安曇野絵本館.9時30分の開館と同時に入館.はじめは僕たちだけ.落ち着いたBGMが流れる中,静かにゆっくりと展示を鑑賞できた.企画展は,ジョン・バーニンガム展.とてもかわいらしい絵に,二人とも目を奪われてしまった.ジョン・バーニンガムの本を3冊購入("Where's Julius?", "COURTNEY", "ALDO").最後に1階でコーヒーをいただく.優しい絵に囲まれながら,時間がゆっくり過ぎていく.幸福な一時だった.
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障害児教育フォーラム(FEDHAN)の安曇野オフに参加した.手打ちそば屋さん「安留賀」で蕎麦をいただき,「大王ワサビ農場」と「あずみのガラス工房」を観光.ガラス工房では,ガラス工芸体験に挑戦.Sphinxは「ぐい飲み」,Aldo は「一輪挿し」を作った(写真).スタッフに手取り足取り教えてもらいながら,長い棒とでかいピンセットと真っ黒なしゃもじで作っていく.吹いても膨らんだ感覚がないんだけど,熱さだけは確実に伝わってくる.器の口を広げるのがちょっと難しかったけど,なんとか丸くなって完成.なかなか面白かった.仕上がりは月曜日.
初対面の方が多く,お蕎麦屋さんではどことなくぎこちなかったメンバーも,ガラス工房を出て喫茶店でお話をすることには,すっかり打ち解けて,いつも(オンライン)の調子で会話が弾んだ.
…楽しかった.
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6時起床.朝の散歩に出掛ける.出会ったもの(ひと)…マリモのようなかわいい栗,八面大王,猫,コリー,アブラムシと蟻,ななふし,カミキリムシ,ハエ,おたまじゃくし,バイクに乗ったオーナー.
平地は天気だったのに,霧ケ峰は霧で真っ白け.車山をあきらめて,八島湿原を歩いた.ここは,1万2千年かけて池から沼に変遷してきたところで,尾瀬よりも年季が入っているらしい.湿原の標高は1650m(東経138°10′,北緯36°07′).
浮き島のある八島ヶ池(写真)から鎌ヶ池までの往復1時間のコースで,ニッコウキスゲ(写真左),ハクサンフウロ,ショウブ(写真右)などを見ることができた.
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霧の中を運転して美ケ原高原美術館へ(写真左:パンフレットより).ここも霧で真っ白.寒いくらい.ところが,美術館のレストランでカレーを食べている間に霧がどんどん晴れて,見晴しが利くようになってきた.ラッキー!ハンドブックを片手に,Aコース(駐車場から見て右側)を中心に見てまわった.僕のお気に入りは「ダイヤモンド構造」(写真右:パンフレットより).人間の足と手を,炭素の4本の手に見立てて作った作品.Aldo のお気に入りは,「田舎の朝」とかいうぶたさん2匹.その他にも,胴体だけのシマウマとか,風でスカートがなびく娘とか,面白い作品があった.
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