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ここ数年、養護学校などの特殊教育の世界では、個別の指導計画を作成するところが増えています。個別の指導計画は、一人一人の一年間の学習の重点を示した計画書で、年度始めに児童生徒の実態や家庭の希望をふまえて担任が作成します。年度末には学習の成果を書き加え、家庭に伝えたり次年度の資料とします。 現状では学校の中で作られ、活用されているだけですが、今後は児童生徒を取り巻く多くの関係者がこの個別の指導計画を共に作成し、共有することで、障害のある児童生徒を共通の視点からより効果的に援助していけるようになると期待しています。 例えば、養護学校の児童生徒の中には、近隣の児童福祉施設から通ってくる児童生徒がいます。その児童生徒の指導にあたっては、施設の担当者と担任が随時情報交換行っていますが、その情報交換のテーブルに個別の指導計画を置いてそれに基づいた話し合いを行うと、児童生徒の課題や取り組んでいる学習について、より短時間で共通理解することができます。そしてそれをもとに、施設での援助内容や学校での学習内容について、共通の視点に立った計画や評価ができるようになります。 また「この課題は学校で、こちらの課題は施設で」という分担も、個別の指導計画に書き加えることで明確にすることができます。 一枚の個別の指導計画を中心にして家庭・福祉・教育が連携して障害をもつ児童生徒を援助する。そういう開かれた教育を目指して、この個別の指導計画を活用していきたいと思います。 機関誌「福祉みやぎ」(2000.11月号) |