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共同研究係だより(第4号)

担任が課題を決めるわけ


【説明】
 本研究では,各児童・生徒の実態把握と課題の設定を担任に決めてもらうことにしています.今までは,それらの作業を各指導形態で別々に行なってきましたが,そのようなシステムには次のいくつかの問題点があります.

 …しても,誰も気づかない(そのような問題があるかどうかも分からないことが多い)ということです.

 このような状況を生み出す原因は,一言で言ってしまえば,一人の子どものすべての授業内容を全般にわたって管理する役割の人がいなかったということです.それぞれの子どもが,学校の1週間の時程の中のどこでどんな勉強をしているのか把握することは,児童・生徒一人一人の課題に応じた授業を展開する上で欠くことのできないことです.ところが,現在のシステムではそこがほとんど抜け落ちているのです.
 では,誰がそれをするのか? 学部主事,学部全体,学年,担任,…?「学部全体で討議をしてみんなで決めよう」なんてがんばるのもいいのですが,時間とのかねあいもありますので…係としては「担任」にがんばってもらうということにしました.担任が設定した課題について,学年や学部で検討したいという場合は,是非そのようにしてください.(説明終わり)


【関連質問1】一人の子どもの課題が,年度によってまったく違うということにはならないか?

【回答】
 おそらく,ほとんどの場合はそうならないでしょう.なぜなら,来年度からは今年度の記録が担任の手元にしっかり残っているのですから.今までは,多くの場合,前年度の記録がなかったりあっても活用されない状態で,新しい担当者が自分の判断にしたがって課題を作成していたのではないでしょうか.それに比べれば課題が年によって変わってしまう危険性は今までより少なくなると思います.
 今年からは,記録がきちんと残されることになるので,前年度とまったく違う課題を立てるには,それなりに説得力のある理由が必要になります.その理由として考えられることは,子どもが成長して課題が実態に合わなくなった,親の描く子どもの将来像が変化した,子どもの現在の生活環境が変化した,などでしょう.

(注)今までも,次年度に伝えられる個別の課題がないわけではありませんでした.学級経営案に書かれている「本年度の目標」がその例です.しかし,これは多くが「日生」的な目標になっていて,今年,先生方が立てたような全人的な課題ではありません.


【関連質問2】「将来の生活像」は何を参考にして書けばよいのか?

【回答】
 特に参考資料として推奨するものはありません.「将来の生活像」を書く意図は,

ということです.一言でいえば「本年度の課題」の設定理由を書いていただければよいということです.先生方が「本年度の課題」を決めるにあたって考えたことを,素直に表現していただきたいと思います.親の願いが分かっているなら,それをここに記していただくのもたいへん結構なことです.
 それにしてもどうしても不安だという場合は,学部経営案に書かれている学部目標や指導の重点,学部経営の基本方針などを参考にしてください.ここには学部として,何に重点を置いて指導するかということが書かれています.


【関連質問3】「本年度の課題」を決めるときに参考になるものは?

【回答】
 一番参考になるものは,前年度の「本年度の課題」なんですが,今年はそれがありませんから….参考になりそうなものを列挙すると,

こんなかんじです.他にもっとよいものがあったら,教えてください.


【関連質問4】「本年度の課題」や「大まかな将来の生活像」を書くにあたって,理念的なものがなくてよいのか?

【回答】
 理念的なものは,研究部からは特に提示しません.あるにこしたことはないと思いますが,今の時点で「理念」の共通理解をはかるというのは不可能です.今までの全体研究日のことを考えても,この手の議論が収束しないことは明らかですよね.それで,今年は,そのへんのことを曖昧にして,とにかく書いてもらいたいと思います.書いた結果,いろいろな書き方や内容のものが出てきます.それらを検討して,その中から良いものを取り上げて,来年につなげていきたいと考えています.良いものを選んでいく過程で,「理念」なるものも,姿を現してくるだろうとにらんでいます.(先生方自身が研究の主体だということです.よいアイディアをお待ちしています!)

【関連質問5】1年間で到達可能かどうかがわからない.

【回答】
 作ってみた課題が「1年で到達可能」かどうか分からないというのは,私たち係も同じです.今まであまり期限を切った課題設定をしてこなかったので,急に期限付きで課題を設定しようとしても,なかなか難しいです.そこで,今年は「1年で到達可能だろうと思う」課題を設定してみてください.それが正しい判断だったか,間違っているかは,1年後に明らかになります(記録をきちんとつけているから).年度末に,ひとつひとつの課題について,到達したかしないかをチェックすると,自分の立てた課題がそれでよかったかどうか分かります.そうすれば,来年はもう少し上手に課題の設定ができるようになるでしょう.

※もちろん,学期ごとの評価をもとに,必要であれば課題の内容を見直す場合も出てくるでしょう.


【関連質問6】本当に担任が決めていいんですか?

【回答】
 はい,担任が決めてください.なんて書くと突き放したようですが,担任が決めるにしろ指導形態の担当が決めるにしろ,結局は私たちが決めなければならないことです.これからは児童・生徒に関する様々な情報が,全部担任に集まるようになりますので,子どものことを一番よく把握できるのは担任(*)ということになります.ですから,担任が決めてください.
 もちろん,課題を設定した後,学年や学部で検討(情報交換)したいという場合は是非そのようにしてください.多くの教員で検討することによって,担任が気づかなかった実態や課題が明らかになることは間違いないでしょう.どのような集団(担任団,学年団,学部)で課題の検討をするかということも,研究の一部です.時間的に無理のない範囲でどこまでできるか,学部ごとに工夫してください.また,課題の検討(情報交換)のしかたについても,全員が集まって会議を開くという方法以外にも,やり方があるのではないかという気がしますので斬新なアイディアが出てこないかなと待ち望んでいます.
 ただし,あくまでも最初に課題を設定する役割と,最終的に課題を決定する役割は担任が担ってほしいと思います.途中の情報交換や検討会は,あくまでも参考意見です.

(*)実は担任よりよくその子のことを知っている人がいます.それは親です.課題を決めるにあたって,親の意見は重要な参考資料のひとつになります.




(係から)
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                            ('96/9/21 発行)




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