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自主研究の概要

研究主題
「一人一人の課題に応じた指導はどうあったらよいか」

●この研究の目的

 本研究で掲げる主題は,『一人一人の課題に応じた指導はどうあったらよいか』というものです「どうあったらよいか」などという文句は,個人的にはあまり好きではないんですが,それはともかく,「児童・生徒一人一人の課題(目標)に応じた指導の展開を保証するためのシステムづくり」をしようというのがこの研究の大きな目的です。

●この研究の3つの重点

 研究をはじめるにあたっての私たち職員の共通の願いは,「子供たち一人一人に,もっと適切な目標を用意し,その目標を達成するためのよりよい学習環境を提供したい!」ということでした。児童・生徒の障害の程度が重度化する中で,子供たちに十分な指導ができかねているという反省が,常に私たちの心の中にあります。では,この願いを実現させるためには,何を改めればよいのか?現状を振り返って下記の問題点を検討した結果,次にあげる3点を研究の大きな重点にすることにしました。

  1. 児童・生徒一人一人の情報を集約し,活用する。
  2. 児童・生徒一人一人の年間の目標を設定し,その目標とすべての指導の形態における個別目標,指導の手だて,評価を文章化する。
  3. 児童・生徒一人一人が年間の目標に到達するための指導内容・方法を改善する。

現状をふりかえって思い当たる問題点

情報の管理・活用に関して

情報が分散している
 個々の生徒の実態や目標・評価の記録が,各指導形態ごと(日生,生活,国語,…)や分掌(教務,進路,…)ごとに別々のファイルに保管されているため,一人の生徒の情報を得るために膨大なファイルをひもとかなければならない。運が悪いと,そのファイルのありかさえ分からない。
情報がオープンでない
 一人一人の生徒のそれぞれの指導形態での目標と指導の手だてが明らかになっていないので,一つのことを別々のやり方で指導してしまったり,指導されるべき課題が抜け落ちていたりしても誰も分からない。また,その児童・生徒の全体像を考えながら,課題の優先順位を調整するということが難しい。
保存するべき資料の種類とその保存場所が明確でない
 個人レベルの情報の管理方法が明確になっていないため,次年度の担任や授業担当者への引継ぎがうまくいっていない。これは,記録したものが保存されないために次年度へ伝わらないという問題と,記録していないので伝わりようがないという問題の両方を含んでいる。

個々の課題と目標に関して

目標の表記が具体的でない
 今までも児童・生徒一人一人について,年間到達目標を書く欄があった.しかし,その欄がとても狭かったこともあり(3行だけ!),そこにかかれる内容は,例えば「コミュニケーションの確立」などというような指導方針の見えてこない単なる「ねがい」にとどまることが多かった。
 また,それぞれの指導形態で設定した目標も,多くの場合,記述が具体的でなく,そのために指導の手だてや評価の観点が曖昧になって,生徒の明確な変容をとらえられないでいる。(そして,毎年,同じ目標がたってしまう…)
個に対応するというのは目標のレベルを調整することではない
 題材の目標のいくつかの文から,個々の生徒の実態に合せて到達度に違いを持たせて一人一人の目標を作る。これで本当に,個に対応した授業だと言えるのだろうか。そのような「題材が先にあって,授業の中で個の実態に合せて対応する」というやり方が,かえって題材の硬直性を生み,多様な課題や目標を取り入れることを難しくしている。

授業の展開に関して

T−T間の意思の疎通の問題
 個々の生徒の目標や指導の手だてに関する打ち合わせに,十分な時間をさくことができない。また,それらを明文化していないために,共通理解を図りにくい。
生徒の実態とのずれ
 本校では,基本的に平成2年度に作成した「指導展開例」(各指導形態での1年分の題材とその展開の例がまとめられたもの)を参考に,授業を計画して展開している。毎年,少しずつ修正を加えながら実施してはいるものの,内容が児童・生徒の実態や興味と合わないことが多くなってきた。


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