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自閉症支援者のための
実用!携帯コミュニケーションブック
携帯コミュニケーションブックの写真

 2004年1月に,自閉症スペクトラムのこどもたちのスキー合宿に参加してきました。きらママさんをはじめ4家族でつくる育児サークルの余暇活動として行われたもので,自閉症スペクトラムのこどもたち5人(小中学生)とその兄弟たち2人,保護者4人とお手伝い2名の13名が参加しました。合宿先は『くりこま高原自然学校』です。

 この合宿には,Sphinxも支援者の1人として参加したのですが,その際持参したのが上の写真の「携帯コミュニケーションブック」です。初対面の自閉症のこどもたちと意味のあるやり取りをするために,少しでも役に立てばと思ってつくりました。

 久しぶりにつくったので,いろいろ必要な会話のカードが抜けていて,完成版にはほど遠かったのですが,絵カードを通して伝わっていることを感じながらやり取りができたことはよかったです。今回の反省を活かして,絵カードの内容を増やしながら,いいものにしていきたいと思います。

 下の掲示用パンフレットは,合宿後に携帯ブックを展示する機会があったので,その時に解説用として作成したものです。画像の下にPDFファイルのリンクもつけましたので,Adobe Reader をお持ちの方は,そちらをダウンロードしてご覧ください。

掲示用パンフレット
携帯コミュニケーションブックの解説

※こちらにPDFファイルもあります。(→combooknotes.pdf

くりこまスキーキャンプの様子

2004年1月7日(水)

スノーシュー 雪面に映える木の影

 5日〜6日の2日間,自閉症スペクトラムのこどもたちのスキー合宿に参加してきました。きらママさんをはじめ4家族でつくる育児サークルの余暇活動として行われたもので,自閉症スペクトラムのこどもたち5人(小中学生)とその兄弟たち2人,保護者4人とお手伝い2名の13名が参加しました。合宿先は『くりこま高原自然学校』です。今回は自然学校の校長先生をはじめ5名のスタッフが,こどもたち1人1人に1名ずつついて2日間継続して活動のサポートを行いました。

 主な活動内容は,1日目のスノーシュー(かんじきの現代版)での雪山散策と,クロスカントリースキーです。冬山での活動は,あまり体験のないこどもたちが多かったのですが,みんな雪だらけになって一生懸命歩いたり滑ったりして,自然とのふれあいを楽しんでいました。白い大地と青空,そして葉を落とした木々のコントラストが見事で,私もとても癒されました。野生の小動物の足跡や,ほとんどクビまで雪に埋まった道路標識などを見ながら歩き,陽が照ると舞い落ちる雪がキラキラ光ってダイヤモンドダストみたいにきれいでした。野鳥の鳴き声を聞いたり,野鳥を観察したり,降ってくる雪の結晶を観察したりと,冬の自然を堪能できた二日間でした。

 養護学校で教員をしていた頃,生徒に余暇の指導をしながら,特に自閉症の生徒の余暇の過ごし方をもっと充実したものにできないのだろうかという思いを感じていました。自閉症の人達の余暇支援に関わりたいという気持ちは,養護学校を離れてからもずっと心の中にありました。それで今回,きらママさんからスキー合宿の話をいただいて,二つ返事で私も参加させていただくことにしました。

 今回の合宿では,自閉症スペクトラムのこどもたちが,安心して参加して,それぞれの目標に向かってがんばれるように,いろんな工夫がされていました(下にそのいくつかを紹介します)。そして,自然学校の若いスタッフの皆さんも,事前に『光とともに…』を読んだり,きらママさんから渡された資料を丹念に目を通したりして,自閉症のこどもたちをしっかり受け止めようという雰囲気に満ちた方々でした。冬の大自然と,意欲的なスタッフ,そして支援のためのグッズの数々があって,こどもたちも予想以上のがんばりを見せてくれたようです。お母さんが喜んだり,驚いたりする様子を拝見して,私もとてもうれしく思いました。

 また,この合宿はお母さん方の学習会としての役割もありました。こどもたちがところどころで見せる不適切な行動のひとつひとつについて,お母さん方は車座に集まって,すぐに反省会を開いていました。1人のこどもがパニックになって騒いだときに私もそれに加わったのですが,パニックになった理由,その時のお母さんの対応のタイミングや言葉がけの内容について,何が良かったか,悪かったかを振り返ってみんなで確認しあっていました。Do → Look → Think → Plan の体験学習サイクルが,お母さんたちの中でしっかりまわる二日間でもありました。

 養護学校の担任をしているときは,なかなかこういう保護者の学び合いの場をつくれませんでしたが,今思うと学校の授業にもっともっと親御さんをご招待して,学び合いの場面をつくれば良かったなーと思います。これからそういう機会が訪れるといいなあ〜。

<今回の合宿の支援グッズ紹介>

○こども用スケジュール(文字)

 しおりの中に,ひらがなだけのスケジュール表がありましたた。「いただきます」の係の子の名前など役割分担についても書いてあります。合宿中,ちょっとした勘違いで自分の係分担を間違っていたこどもが,別な子の名前を呼ばれたことで頭をたたいてパニックに。そのとき,きらママさんがそのスケジュールを見せて,正しい役割を伝えました。そうしたら,その子はひらがなで書かれたスケジュールを一生懸命見て自分を納得させて落ち着きました。こういう視覚支援は,絶大な効果があるんだな〜と再認識しました。

○サポートブック

 1人1人のこどもの特徴や,食事・お風呂などの場面での支援のしかたなどを,手帳サイズにまとめた冊子です。スタッフやサポートメンバーは,全員,こどもと初対面でしたが,それでも2日間が実態把握で終わることなく,こどもたちの体験と成長をサポートできたのは,母親が夜なべして(?)用意したサポートブックのおかげだと思います。特に私が印象に残ったのは,あるお母さんが用意したサポートブックの「風呂用」バージョンです。テーブルクロスに油性マジックで書いたもので,それをお風呂の鏡にペタッと貼れば,それを見ながら支援できます。実際につかった自然学校のスタッフさんが「良かった〜」と感激していました。

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