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成功体験が大切…学校でよく聞く言葉です。
確かにそうなんだけど,それだけではダメですよね。自分の成長を振り返って,成功から学んだことと,失敗や挫折から学んだことはどちらが多いか…物事が上手くいかない体験から,私たちは多くを学んでいるのではないでしょうか。今の学校に足りないことのひとつは,失敗体験をさせること,そこから学びを引き出すことではないかと思います。
今回の中高生リーダー研修会では,何十種類もの活動にチャレンジしましたが,その中で生徒たちが最も印象に残った活動としてあげた活動がマシュマロリバーでした。この活動は,数ある活動の中で唯一課題をクリアできなかった,つまり「失敗」した活動なのです。
マシュマロリバーは,人が触れている限り流れていかない魔法の飛び石を使って,全員で川を渡るという活動です。19人のグループに与えられた飛び石は15個。しかも,それぞれの飛び石は10人の利用にしか耐えられません(でも一度渡りきればそのカウントはリセットされる)。誰も踏んだり触れたりしていない飛び石があると,すぐに急流に流されてしまいます。飛び石ではないところに足や手をついたら,やはり流されてしまいます。一人でも流されたら全員が最初の岸に戻らなければなりません。
最初に与えられた活動時間は,話し合いとチャレンジを含めて20分でした。10人と9人の2つのグループに分かれてチャレンジするというところまではすんなりと決まりましたが,具体的な渡り方の話し合いがなかなかまとまりません。一度もチャレンジしないうちに制限時間になってしまいました。生徒の希望を受けて時間を10分延長し,残り時間で片方のグループが何度かチャレンジしましたが,そのたびに飛び石やメンバーが流されて振り出しに戻ります。結局延長した時間も終わり,成功しないまま活動の振り返りに入りました。
振り返りでは,「一体感がどうだったか」という視点を与えた上で,チャレンジしたグループの気持ちと,チャレンジを見守ったグループの気持ち,その時に聞こえていた声について話し合いました。
・話だけで想像していたことより,実際にやってみるととても難しかった。
・見ている人からのアドバイスは,あまり効果的ではなかった。
・見ているだけではちょっとつまらなかった。
ファシリテーターから指摘したことは,
・仲間が失敗して川に流されたときの,見ている側からの「あ〜あ」という声。その声がつくる雰囲気とは?
その結果,この活動から生徒が学んだことは,
・ただ話し合いを続けるよりも,早めにやってみることが必要だ。
・実際に体験しないと分からないことがある→体験を共有する必要がある。
・一体感を高めるためには,チャレンジしていない人の関わり方が大切。
というようなことでした。この3つの学びは,その後のチームの活動に大きな影響を与えましたし,リーダーとして各学校に帰ったときにもそのまま生かせる学びですよね。
今回の参加者を見ていると,失敗を必要以上に回避したがる雰囲気がありました。1回で成功させようと思えば思うほど,実際の行動に踏み出せずに話し合いだけが続いてしまうのです。しかし,そのような生徒たちでも,このように失敗から貴重な学びを引き出すことができます。学校で私たちが成功体験にこだわるのはなぜでしょう。失敗させないように先回りして支援するのはなぜでしょう。もしかしたらその支援が,生徒の成長を妨げているのかもしれませんね。
最後に,今回の参加メンバーの中には仙台二高の文化祭のスタッフが5名いました。彼らのサイトをリンクします。お近くの方,仙台二高の文化祭に行ってみませんか?
宮城県仙台第二高等学校 北陵祭実行委員会・通称『北実』のHP
http://x40.peps.jp/hokuzithu/?_cus=jm8l20&cn=30
【IMG_0105.jpg : 16.2KB】
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