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事例(9)
PAを参考にした幼児教育の取り組み
かりっち
私は山形県の幼稚園で働いていて,2歳児クラスを担当しています。MAP研には数年ぶりの参加です。今日は,保育園に勤めていた頃に,5歳児クラスでPAのアクティビティを活用してソーシャルスキルトレーニングにチャレンジしたときの様子を紹介します。
☆ビーイング
みんなで考えよう〜友達にしてほしいこと,してほしくないこと〜
PAに出会ってすぐにビーイングに挑戦しました。人型をつくって「友達にしてほしいこと」を中に,「友達にしてほしくないこと」を外側に書きました。園児はまだ字が書けないので,字は私が書きました。このビーイングは,せっかくつくったのに,そのうち誰も見なくなってしまいました。自分たち(園児)が関わっていないビーイングだったからだと,あるとき気付きました。
そこで,次のバージョンでは園児と一緒につくることにしました。左の人形が「してほしいこと」,右の人形が「してほしくないこと」です。人物の表情や髪型も,こどもたちが考えました。こちらのビーイングは,園児にとってとても意味のあるものになりました。例えば誰かがイライラしていすを投げてしまうと,別の園児がそのビーイングの所に連れて行き「いす投げてダメだって書いてあるべぇ!」と言うのです。そうすると,投げた子も「あ,そうだった」ということで,落ち着きを取り戻したりしていました(話しができすぎと言われますが,私も驚きました)。その後もこのビーイングには,場面場面で言葉が足されていき,卒園までずっと活躍してくれました。
☆保護者のビーイング
夏のクラス懇談で,保護者の皆さんにビーイングをつくっていただきました。手型の中には「こんな子に育ってほしい」という願いを,外側には「そのために自分が親としてできること」を書きました。こんなことするの久しぶりだよね〜などと,活動自体をとても楽しんでいる様子でした。また,お迎えで来園したときなど,それを見直しているお母さんもいらっしゃいました。
☆2歳児クラスでのチャレンジ(ビデオを見ながら)
山形市では,今年から幼稚園に2歳児の受け入れをはじめました。2歳児クラスは,園児6名に教師が1名つきます。クラスが始まった頃は,気持ちから直接行動につながってしまう(例えば手が出る)場面がよくありました。
まずはじめに,仲良しのAくんとBちゃんが,電話のおもちゃでの遊びをきっかけに対立するシーンを見ていただきます。Bちゃんの手がまず出てしまって,ちょっとしたいさかいがおこります。次のシーンでは,Bちゃんは手を後ろで結んでAくんに近づいていっています。Bちゃんなりに「がまんしよう」という気持ちが,この姿に表れています。
次の場面は,「しろくまちゃんのほっとけーき」を読んで,実際にホットケーキをつくろうというシーンです。Cちゃんが生地をかき混ぜている様子をAくんがうらやましそうに見ています。次にAくんの番。ところが,Aくんはなかなか次の人にまわそうとせず,他の子に催促されても,まるで聞く耳はなく,ずっとこねる作業に没頭しています。こういう「自分のしたいことに集中する」という行動は,このころの発達段階では必要な行動です。しばらくこねて自分なりに満足したAくんが,やっと次のお友達にボウルを渡した時,短い言葉でほめてあげます。
こうして見ていただいた保育の様子は,ごくごく普通の活動だったと思います。年齢に応じた活動の中にも体験を通して学ぶサイクルは流れ続けていると思います。それは無意識のうちに流れているのかもしれません。PAやMAPはそれを意識する手立てとしても活用できるものだと思っています。
(※かりっちに,少し手を入れていただきました!ありがとう! 2/26 20:18)
○報告者より
この事例研究会の報告は,発表者が語っているようにまとめてみましたが,これは発表者の言葉そのものではなく,報告を書いたSphinxのフィルターを通したものです。もしかすると,発表者の方々の真意からずれた部分があるかもしれません。その責任はすべて報告者である私が負うものです。
発表者の方で,今回の報告が自分のいいたいことと違うことが書いてある!と思われた方がいらっしゃいましたら,ぜひご連絡をいただきたいと思います。すぐに修正させていただきます。
なお,1日をとおして記録に努めましたが,一部,疲れが見えてあまり書いていない部分がありました。ムラがある報告で大変申し訳ありませんが,どうぞご了承ください。(Sphinx)
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