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今年の中高生リーダー研修会で,マシュマロリバーの次に印象的だと生徒が指摘した活動が,最終日(3日目)の午前中に行ったバルーントロリーでした。こちらの事前の想定では30分以内のちょっとした活動というイメージだったのですが,やってみたら1時間かけたメインの活動になってしまいました。こういうのはうれしい誤算ですね。
バルーントロリーというのは,風船を使った単純な活動です。みんなで1列縦隊になって,前の人と自分の間に風船をはさみ(手で触れたり腕で支えたりしてはいけません),その状態でみんなで前に進むというものです。前の人が急ぎすぎると,後ろの人との間隔が広がって風船が落ちてしまいます。もし誰かの風船が落ちたり,風船にさわってしまったりしたらアウト!先頭の人が一番後ろに回って,再スタートになります。
今年のリーダー研修会のグループ目標は,2日目にみんなで話し合って「絆信迅輝」ということになりました。絆を大切にして,互いに信頼し,決定行動は迅速に,そしてみんなの個性が輝くように…という意味で,四字熟語のように漢字を四つ並べてつくりました(四字熟語のように…というのは中学生のアイディアでした)。盛りだくさんな目標で,4つすべてについて活動で深めることはできなかったのですが,みんなの様子を見ていると,4つの中でも「絆」という部分を大切にしたいという気持ちが見えたので,バルーントロリーもそこに焦点を当ててみました。「絆」という言葉の意味をどう共通理解するか,体験をとおしてその言葉に乗せた互いの思いを理解していこうというわけです。
また,リーダーとしての悩みを1日目の活動で出し合ったときに,「リーダーと一般の生徒の気持ちの温度差」というのが多く出されていて,リーダーとして「笛吹けど踊らず」といった状態に悩んでいることが分かり,ちょっと視点をかえるきっかけになるといいなという思いもありました。
さて,自分の風船を選んでふくらませ,活動開始です。はじめは3つの班に分かれて,それぞれアイディアを出し合ってチャレンジしました。早くゴールする班,何度も風船を落としてもたつく班と,三班三様の取り組みでしたが,一番最後にゴールした班から最後に出たアイディアが「後ろから風船を押す感覚で…」というものでした(このやり方でやっと成功!)。
すべての班がゴールした時点で,みんなで輪になって振り返りです。まずは先頭・最後尾・その間の3つの役割でそれぞれどう感じたか出し合いました。次に上手くやるためにどんな作戦を立てたかを各班から発表してもらい,最後にゴールした班から「後ろから押すように」という話が出ました。他の2班に「そういう感覚はあった?」と聞くと,イマイチ分からないといった様子だったので,もう一度やってみることにして,今度は全員で1列になって「後ろから押すように」してやってみました。19人が1列になって風船だけでつながって進むというのはとてもタイヘンでしたが,ゆっくりと時間をかけて,生徒たちはゴール地点まで進むことができました。
みんなでゴールした一体感を感じながらの振り返りでは,先頭が進みすぎると後ろが困るという状況が,いつも自分たちが学校でリーダーとして困っている状況と似ているよねということ。風船を互いの絆だとしたら,風船をはさまずに普通に一列になって歩くならとても簡単だけど,互いの絆を確かめ合いながら進むととてもタイヘンだった。でもその分,やり終えて気持ちがいい。「絆」ってこういうことかもね。というような話になりました。
このバルーントロリーをしていつも思うのは,先生たち,とくに校長や教頭になるような人には,ぜひ体験してもらいたいということです。なぜなら,やる気があってリーダーシップがある(と思っている)校長の下で働くのは,苦労が多く楽しくないんですよ。後ろの人たちのやる気で踊らされる(ように見える)校長ほど,いいリーダーシップをとっているということだと思います。クラス経営も,きっと同じなんだろうな…。
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