地学実習/直達日射量の測定
生徒用プリント
目的
水を入れた容器に太陽光線を当て,水の温度上昇を測定する.その結果から,地表面にやってくる太陽放射エネルギーの量(直達日射量)を求める.
準備
簡易日射計,温度計,注射器,マチ針,時計(秒針付),定規
作業
- 日射計の容器を本体からはずし,日射計の受光部(黒い部分)の面積を測る(メモせよ).
- あらかじめバケツ,水槽などに水をためておき,水温を気温と同じ位にしておく.この水を日射計の容器にいっぱいに入れる.この時,入れ方を工夫して,容器に何mlの水が入ったか分かるようにする(メモせよ).
- 温度計を容器の中心まで差し込み,容器についた水分はよくふきとっておく.日射計の容器を本体に取付ける.
- 屋上に上がる.受光面が太陽光線に垂直になるように工夫して,日射計を設置する.
- 測定開始後,2分ごとに水温を読み取り(0.1℃単位),22分間測定する(メモせよ).この時,測定の度に日射計の角度と方向を調整し,常に太陽の方を向けるようにすること.
- 日時,場所,天気,気温,雲の状態,太陽高度について記録する.
まとめ
- 測定結果を表とグラフに記入する.
- グラフが直線的に変化している部分をとって定規で直線を引き,1分間に平均何℃水温が上昇したか求める.
- 水の量,受光面の面積,2)で求めた1分間あたりの水温上昇率から,直達日射量
I (cal/cm2min.) を求めよ.(小数点第1位まで)
考察
- 受光面が黒い色でない場合,測定値はどう変わるか.理由と共に答えよ.
- 受光面を太陽光線と垂直になるように設置しなかった場合,測定値はどう変わるか.理由と共に述べよ.
- 容器にいれる水の温度が,気温とかなり違う場合,測定にどういう影響をもたらすか.低すぎた場合と高すぎた場合について述べよ.
- 今回求めた直達日射量が,太陽定数と異なる理由を列挙せよ.
注意
- 温度計の読み取りの時などに,受光部を影にしないこと.日射計の前を歩かないこと.
- 測定中,日射が雲で遮られた場合は,それまでの測定結果を利用する.
- 屋上では騒いだり,はしゃぎ回ったりしないこと.
教師用資料
【考察の答え(概略)】
- 太陽エネルギーの一部が吸収されないため,実際の値よりも小さくなる.
- 受光面の面積が減るので,実際の値よりも小さくなる.
- 水の温度が低すぎた場合は,太陽エネルギーのほかに,周りの大気によっても暖められるので,実際の値よりも大きくなる.水の温度が高すぎた場合は,周りの大気に冷やされるため,実際より小さい値になる.
- 大気の吸収・散乱,雲による吸収・反射,など.場合によっては,雲が日光を遮ったから,○君が前を横切って陰にしたから,日射計を光線に対して垂直に置かなかったから,などというのもあるかもしれない.
【展開上の情報】
- わずか20分で,みるみるうちに水がお湯になる.太陽エネルギーの力を実感し,生徒は驚きの声をあげる.太陽電池などより直接的で分かりやすい.
- このプリントでは22分間測定することになっている.あまり長時間になると,水温と気温の差が開いて,大気への放熱の影響が顕著に現われる.放熱の影響を補正するためには,露光と遮光を繰り返して測定するという方法があるが,太陽エネルギーを実感させるという目的であれば,そこまでする必要はないだろう.
- 作業の2.で,測定に用いる水の温度を気温と同じ位にするというところがあるが,これはそれほど厳密なものではない.むしろ,気温より2〜3℃低めの水温から始めたほうが,大気との間のエネルギーの出入が相殺されてよいという考え方もある.→この件に関して,宇留野先生から以下のようなコメントをいただいた.
- このような測定実験では,開始時の水温は,気温より2〜3℃低い方が合理的ではないか.外気との熱の出入りは,水温が気温より高くなったときと相殺されるから.
- 事前に夏と冬,九州と北海道ではどちらが大か,予想させるとよい.季節にもよるがむしろ予想と逆なのは,太陽の高度より大気中の水分の方が効いてくるからだ.つまり晴れていれば,1校時からでも実施できるのだ.
- 作業の2.で,容器に入った水の量は,注射器の目盛から読み取らせる.(特に指示しなくても,そのようにやっている.)
- 作業の4.で,受光面を太陽光線に垂直にするには,マチ針をウレタンの断熱材に垂直に立てて,その影を見て調整すればよい.(マチ針は与えるが,その意味は教えない.どこかの班が気付くと,他の班も真似をする.どうしても分からないときは,教える.)
- まとめの2.で,「直線を引き」と書いてあるのに,折れ線にしてしまって質問に来る生徒が後を絶たない…
生徒用レポート用紙
地学レポート(直達日射量の測定)
(____)班:
構成員
(____)年(____)組(____)番(____________________)
(____)年(____)組(____)番(____________________)
(____)年(____)組(____)番(____________________)
(____)年(____)組(____)番(____________________)
(____)年(____)組(____)番(____________________)
日時:__________________________________________________
場所(緯度経度):_______________,(__________,__________)
天気:_________,気温_________,雲の状態_________________
太陽高度:_________,受光面面積_________,水の量_________
1分あたりの水温上昇率:____________________(℃/min.)
直達日射量I:______________________________(cal/cm2min.)
(計算の過程・式を詳しく書け)
考察:
1)
2)
3)
4)
(裏に1人1人の感想を書け.考察も書ききれない分は裏に書け.)
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