トップページへのリンク 心の復興支援プログラム推進事業(MAP講習Ⅰ)

MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。

■ 日   程:2013年 7月23日(火)〜25日(木)
■ ね ら い:MAPの体験的理解
■ 報   告:アンディ

心の復興支援プログラム推進事業の一環として,MAP講習Ⅰが行われました。

1.プログラム概要

1日目:「知り合う活動、集団が暖まる活動の体験」

学級開きの始めの頃に使えるような、名前を覚えたり、負荷の高くない自己表現(誕生日や好きなもの等)を楽しみながら出来るようなアクティビティを体験しました。そのような学校で使えるアイスブレイク・ウォームアップから、午後の中盤以降は少しずつ課題解決の活動に入っていきました。意見を出し合う、まとめる、共通理解を得る、合意形成を図る、などの課題解決スキルが求められるアクティティを実施しま した。また、「ビーイング」と呼ばれる、集団に必要な規範や指針を自分たちで作り育てていくツールを作成しました。これは、PA を実践されている先生方の多くが取りいれられている手法です。夜の時間には、PA の中核的な考え方をお伝えしました。

2日目:「課題解決活動を通したグループの変化の実感」

初日よりもさらに課題の難易度が高く、協同が求められる課題の中で、グループの在り方、一人ひとりの関わりについてディスカッションをしながら進んでいきました。そのディスカッションの土台となるのが、前日に作成した「ビーイング」です。このグループに必要だと思った規範がどのような行動として見えたのか、見えなかったの か、さらに必要な規範はあるか、そのような視点でふりかえりながら活動を進めまし た。夜の時間は、グループに向いている意識を一人ひとりに向けることを意図し、「今のグループの中の自分」「こうありたいグループの中の自分」について話し、「こうありたい自分」を支えるのがグループのメンバーであることを確認しました。PA ではグループの仲が深まることに伴い個より集団を優先してしまうような場面に出合うことがあります。あくまで、個々の成長のための器としてグループがあるのだということを強調しました。

3日目:「個人とグループ双方のパフォーマンスの発揮とまとめの活動」

一人ひとりがグループにどのように関わるか、ということを意識したうえで、さらに難易度の高い課題解決活動にトライしました。前日までにできた関係性が土台となり、意見をぶつけ合ったり、混沌とした時間があったりと、一人ひとりのコミットメントが増した関わり合いが見られました。1~30 の番号にタッチする時間を短くするという活動(キーパンチ)では、ルールの解釈やアイディアの精査・統合などにおいて、前日のグループとの大きな変化が見られました。

午後は、ふりかえり、情報提供(思考・感情・行動モデルなど)、「心の復興」との関連についてのヒアリング等を行いました。

2.参加者の声

MAP講習Iの最後に、「MAPのどんなところが“心の復興”につながると感じますか?」という問いかけで、参加者の声を集めました。

3.所感

MAP 講習Iについて

講師の先生方との打合せにおいて、「まずは MAP の楽しさ、教育効果を体験してほしい」というねらいの講習であるとのことでしたので、その面をサポートさせていただきました。その点は、参加してくださった先生方の様子やアンケート等を拝見しても、達成できたのではないかと感じております。

「楽しい、クラスでやってみたい」と思ってもらえたとしたら、MAP 講習II、IIIへの導線をしっかり引いておくことが重要だと感じました。体験会から全3回の MAP 講習の受講パス(道のり)が見えると、受講された先生方も、「そんなことが学べるのなら、次の講習にも行ってみようかな」と思えるはずです。例えば、宮城県教育委員会の HP にある「MAP 研修体系図」の今年度版を、MAP 講習I含め様々なところで配布することがひとつの手掛かりになるかもしれません。

「心の復興支援」との関連について

パーソナルアプローチとしてのカウンセリングについては、スクールカウンセラーがその役割を担っています。グループアプローチとしての MAP(PA)を通して、先生方が「心の復興支援」に関わることができるのではないかと考えています。先生方が一方的に児童・生徒のケアをしたり、支援をするということではなく、お互いに気づきあう、癒しあう関係性が生まれる環境をつくるための手法です。

難しいことからではなく、まずはクラスのみんなと話したことがある、名前を呼び合える、どんな人たちかわかっている、というコミュニケーションの絶対量を増やすことから始めます。そのためにアクティビティを活用することができます。これまで先生方が実施されてきたクラス経営に、MAP という引き出しが増えることで、「心の復興」の土台となるクラスの関係性をつくる支援を行いやすくなると考えております。

今回寄せられた、「2.参加者の声」にも具体的なヒントもなるものが数多くみられます。今回の MAP 講習Iでは、「MAP の体験的理解」を主題に置いていたため、具体的に学校内でどのように展開していくかは、MAP 講習II、IIIの中で触れられていく内容かと思いますので、今後も県内指導者の先生方と連絡を取りながら、お手伝いできる方向性を探ってまいりたいと思います。