トップページへのリンク 2009年 MAP研究会10周年イベント(11月)

MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。

■ 日   時: 2009年11月14日(土)13:00〜19:00
■ 場   所: ホテル白萩
■ 内   容: お世話になったPAJの方々とこの10年を振り返ろう
■ 講   師: 林代表,おやじ,ザウ,ニノさん,はるみちゃん/(夜の部)mab
■ 報   告: Sphinx
■ 参 加 者: 51名

みんなで記念写真

月日の流れは速いですね〜。私たちのMAP研究会も,とうとう10周年を迎えてしまいました。2000年に始まって,今年が2009年。当時小学1年生だったこどもたちが,もう高校生になっているということですか。いやはや…。

この10年順風満帆だったとはとても言えませんが,事務局を中心とした仲間たちの力と,PAJと宮城県教育公務員弘済会を中心とした強力なサポートにより,ここまで続けてくることができました。

そんなわけで,10年を一区切りにして,今までお世話になったPAJの方々と共にこの10年を振り返るイベントを開催しました。

13:00 第一部 ワークショップ(その1) PAJの方々への感謝状づくり

開会式も何もなく,いきなり始まるワークショップ! 最初の活動は,PAJの方々に今まで10年間の感謝の気持ちを表すものを,参加者全員でつくろうという活動でした。少ない時間でしたが,大きな感謝状とメッセージカードを作りました。

 

 

手を動かしながらも,互いに近況報告をし合ったり,昔話をして,皆さん和気あいあいと活動に取り組んでいました。

私はと言えば,10周年記念イベントという大切な日にもかかわらず,映像記録用の Xacti が壊れてしまい,午前中の学校行事が終わってから慌ててヨドバシで新しい Xacti を買い,そこから徒歩で1時間も遅刻して会場に着きました。もう汗だく…。

15:00 第一部 開会のセレモニー 〜 パネルディスカッション

15時から本日のスペシャルゲスト(PAJの方々)をお迎えして,ついに全員がそろって10周年イベントが始まりました。

MAP研のメンバーの大きな拍手の中,扉がひらかれて,PAJの林代表,はるみちゃん,ザウ,ニノさん,おやじが入場。きっとみんなの心の中に,AP,ABC,AITCの楽しくも苦しい(?)忘れがたき思い出の数々がよぎったことでしょう。スペシャルゲストの皆さんは,ちょっと照れ気味でした。

 

開会のセレモニー。

高校教育課で平成13年度から平成18年度までの6年間,MAP事業に携わったタクちゃんから,ごあいさつをいただきました。MAP事業もMAP研究会も,タクちゃんの6年の積み重ねがあればこそです。ありがとう!

パネルディスカッション

引き続いて,「MAPとMAP研の10年のキセキを振り返る」と題して,パネルディスカッションが行われました。パネラーは,PAJのスペシャルゲストの方々とショウ。コーディネーターはまいけるです。

スライドショー

パネルディスカッションに先立って,MAPのこれまでの10年をスライドショーで振り返りました。3000枚以上の写真の中から選りすぐった写真たちです。

 

確かに10年の月日を感じさせる写真もあれば,「え,これはそんなに前のことだっけ?」と驚かされる写真もありました。いろいろな写真を見ていると,私たちがやってきたことは,誰かに授業のやり方を教わったとかそういうことではなくて,「自分自身で学ぶ」それも「仲間と共に体験をとおして学び合う」ということを10年間ずっとやってきたんだということが改めて分かりました。うちの学校(光明支援学校)の教育理念に「よく学ぶ者こそ人の師たり得る」というものがあるのですが,私たちがやってきたことは,こういうことではなかったかと思いました。

10年間の中で,誰もがMAPやMAP研と深くかかわる時期があり,そして遠ざかる時期もありました。それぞれの教師生活やら人生の流れの中で,それでも10年間共に歩み続けた仲間たちの写真の1枚1枚を見ていると,この先に進んでいくパワーを与えられ,しっかりやろうと励まされているような気がしました。

スライドショーをつくったのは実は私なんですが,そのつくった自分が,スライドショーを見て励まされています。10周年記念イベントから半年以上経った2010年の4月にこの記録を書いていますが,今,久しぶりにこのスライドショーを見て,また励まされているところです。会員の皆さんのお手元にも,できるだけ早くお届けできるようにがんばります。もうしばらく待っていてください。

パネラーの自己紹介

 

さて,写真で10年を振り返った後は,トークで10年を振り返る,パネルディスカッションの始まりです。

まいけるからの一番目のお題は「MAPと私という題で自己紹介をする」でした。林代表からは,PAJが宮城県の学校(教育委員会)とかかわるようになった馴れ初めの頃のお話。はるみちゃんからは,PAJに平成13年に入社してすぐMAP担当になり,同じく平成13年からMAP担当になったタクちゃんと,知らない同士手探りで仕事を始めた頃の話。おやじからは,宮城県に来るに当たって kat から指示されたことが「おやじの生き様を語ってこい」だけだったという話などなど。振り返り出すと話が止まらなくなる皆さんの昔話を楽しく拝聴しました。

教育の課題と原因およびその解決方法

次に学校現場で困っていることがありますかという会場への問いかけがあり,「授業中に先生の話について行けなくなり騒ぎ出す発達障害の生徒にどう対応するか」という質問が取りあげられました。

正直始めは,MAPと関係あるのかないのか分からないような質問だと思いましたが,パネラーの皆さんからの返答は見事にMAP的でありPA的だったことに,たいへん感銘を受けました。やはり基本を押さえていれば,クラスの中で起こるどんなことにも,ブレずに対応できるんだなと思った次第です。

<アドバイス(その1)>

体験型学習にはいろんな流派があるが,基本は一緒で,それは「Cゾーン」という概念。新たな一歩を踏み出すと,そこには学びが待っている。一歩を踏み出さないと昨日と同じことが今日も続くだけ。基本は同じだけど,Cゾーンを飛び出させる手法は色々ある。PAの場合は「仲間」というものをつくりあげることでCゾーンを飛び越えさせようとする。つまり,フルバリュー・コントラクト。もう一つは,自分でやるということを大切にする。それが「自分でやった」という自尊感情を育てることにつながる。この二つをどう使うかということが,学校のいろんな場面で試されているのだと思う。

今の質問に関して言えば,学び合いのようなことがあるといい。全然分からない子に先生が教えても分からなかったけど,ちょっと分からない子が全然分からない子に教えたら分かるということもある。そういう学び合いをクラスの中に起こしていくと,授業中にいつも誰かが立ち歩いて何かをやっているという騒然とした状態になる。ADHDの生徒がいても,誰がそうなのか分からなくなる。学び合いが起こると,教えた方の生徒にも知識が定着するという意味がある。そうやって無駄な時間を使わずに互いに分かっていくというやり方にしてみたらどうでしょう。

<アドバイス(その2)>

世の中にはいろんな人がいる。その多様性を認めていこう,多様な人の中で何ができるか考えていこう,というのがPAの考えのひとつ。そういう生徒を特別に扱ってしまうのではなく,その生徒がいるなかでクラスを運営していく,あるいはクラスになっていくためにはどうすればいいんだろうと,クラス会議などでその生徒も含めてみんなで考えてみたらどうだろう。

また,そのような問題行動は特に授業中は抑えたくなるだろうが,抑えようとして抑えられる例は少ないのでは? 問題行動が起こっているときではなく,普通にしているときに肯定的な声掛けをしてあげる努力が必要かもしれない。

特別支援教育の分野の話題ではありましたが,参加者はみんな真剣に頷きながら聴いていました。こういう悩みは特別支援学校だけではなく,今やどこの学校(一般の小学校や中学校)でも日常的に起こっているということなのでしょう。発達障害児にかかわる通常学級の諸問題にも,MAP的に攻めていけるんだと分かって,私自身目から鱗が落ちました。

続いての質問は「小学1年生に友達についてのアンケート調査をすると,10年ぐらい前のこどもたちとはずいぶん違う回答が返ってくる。こどもたちは変わったのでしょうか。」という質問です。「何人ぐらいのお友達と仲良くなりたいですか」という質問に対して,一番多い回答が「2〜3人」。「もっとたくさんのお友達と仲良くなりたいですか」という質問では,一番多い回答は「どちらでもよい」なのだそうです。なんかドライなかんじですね。

<アドバイス>

こどもたちが変わったとか,理解できないという声は,先生方からよく聞くようになった。今まで先生方がやってきた既存の手法が,通用しなくなってきているこどもたちなんだろう。

そこで私たちができるのは,こどもたちの主体性にそのまま委ねてしまうということだ。それが,フルバリューやビーイングである。こちらから敢えて「ああしろ」「こうしろ」と指示的に対応するのではなく,こどもたちの「ああしたい」「こうしたい」という気持ちを利用していく。その中でこどもたちがある種の規範を作っていく。

私たちにできることは,その規範を私たちも一緒になって考えて捉えて,その中で一緒になって進んでいくということじゃないか。こどもたちが変わっていくなら,その流れに乗っていこうということ。

ここまででパネルディスカッションの時間が終わってしまいました。本当は「MAPのこれからに期待すること」というお題も用意されていたのですが,時間の都合で聞けずじまいになってしまいました。ちょっと残念。

16:00 第一部 ワークショップ(その2)PAJの皆さんによるファシリテート

 

パネルディスカッションに続いて,PAJの方々のファシリテートでワークショップを行いました。会場を前の方と後ろの方に分けて,前方では林代表とニノさんによるワークショップ,後方でははるみちゃんファシリテートのワークショップを行いました。

2つのワークショップが同時展開だったので,写真とビデオは撮りましたが内容はフォローできませんでした。はるみちゃんのワークショップについては,haya がレポートをしてくれたので,そこから引用します。

<はるみちゃんのワークショップ>

さて、午後のPAJワークショップでは、はるみちゃんからの話題提供で、shibshops というワークショップ。

ググったら、これ↓ 国立ハビリテーションセンターのワークショップがでてきました。

http://www.rehab.go.jp/rehanews/japanese/No285/6_story.html

で、はるみちゃんから紹介された要旨はこんな感じ。

しょうがいがある、きょうだいのいるという子どもたちを集めて、アイスブレーキングにはじまり、アクティビティーによって話しやすい環境をつくり、自分のきょうだいについて感じていることをディスカッションできるようにする…というような活動(shib shops)についての案内と、関連する内容「私のおとうと、へん…かなあ」という絵本の紹介でした。

個人的に、言い尽くせぬ感の残ったワークショップの案内でございました。

職業的には、しょうがいをもつきょうだいだけに関わらず、病気であったりする親、きょうだいなど家族への日頃の思いが、 安心して話せるだけの、周囲の環境があったとしたら、救われる子どもってたくさん出てくる…だろうな…? と考えました。

個人的には、今年、ちょうど学生時代に関わった障害児の学童保育も10周年だったので、その記念式典でもなつかしい顔にたくさん出会い、そんなことも思いだし、10年の時間が流れる間に立ち位置の変わらぬ自分が歯がゆく思えました。

#家族を通じて学びになったことがものすごおくあったから、とりあえず良しとするかー

他にも感じたこと、考えようとしたことがあるのですが、うまい言葉が見つかりません。自分なりにとことん、考えてみたいなあと思います。

ということで,ありがとうございます>haya。

はるみちゃんがワークショップの中で紹介していた本は,この2冊です。左側が,マリ・エレーヌ ドルバル (著)「わたしのおとうと、へん…かなあ」(→Amazon),右側が,マーグレット E.レイ (著)「おかえりなさいスポッティ」(→Amazon)です。

 

障害児の兄弟問題というのは,障害児を育てる家庭には必ず発生する問題です。先日「ぼくはうみがみたくなりました」という自閉症の青年を描いた映画を見ましたが,そこでも兄弟問題は重要なトピックの一つになっていました。

私もちょっと検索してみたら,こんなサイトもありました。他にもたくさんありますよ!

シブショップ
発達障害児のきょうだいの心理とその心理的支援プログラムについて

17:00 第二部 懇親会

楽しい学びの時間はあっと言う間に過ぎていき,もう懇親会の時間となりました。懇親会は別会場で,もうテーブルにはビールと食べ物が用意されています!

写真撮影

 

第一部で帰る人もいるので,第二部の前にみんなで記念写真を撮りました。

開会行事

開会行事では,MAP研究会会長のあいさつ,元会長の祝辞に続いて,宮城県教育公務員共済会とPAJに感謝状を贈呈しました。

宮城県教育公務員共済会やPAJの方々に10年間支え続けていただいたことで,今の私たちがあります。宮城県教育公務員共済会の髙橋理事長からは,過分なお褒めの言葉と励ましの言葉をいただきました。重ねて御礼申し上げます。

宮城県教育公務員共済会へ感謝状贈呈 宮城県教育公務員共済会の髙橋理事長からごあいさつ

PAJへ感謝状贈呈 PAJへ感謝状贈呈

PAJの方々には,ワークショップ(その1)でつくった,模造紙の感謝状と,一人一人の心のこもったメッセージカードを贈呈しました。ぜひPAJの事務所の壁に貼ってくださいとお願いしましたが,どうなっていることでしょう!? それから,PAJの方々には,合わせて,MAP研の10年を記録したスライドショーのDVDと,10周年記念Tシャツが贈られました!

乾杯・歓談

乾杯。そして歓談。10年の歳月を振り返りながら,思い出話に花が咲きます。たくさんの笑顔と笑い声がありました。

 

 

 

スピーチ・タイム

そして,PAJの方々やMAP研のメンバーによるスピーチがありました。私はしゃべりが苦手なのですが,引っ張り出されてしかたなくしゃべりました。何をしゃべったか全然覚えていません! 私以外の皆さんのお話は,爆笑ネタがあったり,ほろりともらい泣きしたり,とても素晴らしい話ばかりでした。mabはイベントに間に合わず,ビデオレターでのスピーチとなりました。

 

 

 

スライドショー

パネルディスカッションのときに10年を振り返るスライドショーを上映しましたが,DVDにはその他に,1年ごとの写真でつくったスライドショーも収録してありました。その中から,時間の許す限り,いろんな年度のスライドショーを上映して,みんなで楽しみました。

閉会

最後に,ショウの三本締めで,楽しい時間に一区切りがつきました。

私自身,10年を振り返りながら,たくさんの仲間たちやPAJの方々と話したり,スライドを見たりするなかで,自分の心が大きく動かされた1日でした。参加した皆さんの感想を,最後に掲載して報告を終わりにしたいと思います。

東京への人事交流から帰ってきて、今年久しぶりのMAP研への復帰と言うことで、正直自分の立ち位置がわからなくなっていました。顔見知りよりも初めてお会いする人の方が多く、中に入っていけない自分がいました。しかし、懇親会でのピーチボーイのお話の中で、久しぶりに「Cゾーン」という言葉を聞き、当日の自分はCゾーンから出れないでいた状態であることに気付きました。「今、振り返ると…」ですけど。MAP研から遠ざかっていただけでなく、自分自身もMAP研で得てきた感覚から遠ざかっていたんですね。久しぶりに奮い立ちました。明日からまた、ストレッチゾーンへ一歩ずつ踏み込んでいこうと決意を新たにするきっかけとなった一日でした。(BOSS)

事務局のみなさん 素晴らしい時間をありがとうございました。私は懇親会2次会の注文取りを頑張りました。(笑) かなり酔っぱらいました。最近,ストイックな生活をしていたのですが,その貯金を全部使い果たした感じです。大変失礼しました。初めて東北本線で帰りました。(小牛田まで) 酔っぱらって乗り過ごしちゃいかん!と,ふらふらになりながら頑張っていました。でも小牛田は終点でした。(T.T)

MAPってやっぱりいいなあ,としみじみできた1日でした。前の日が指導主事訪問だったのです。そこで指導主事からも指摘されたのですけど,どうも最近,形を整えることに走っているような気がするのです。というか,枠からはみ出ることに臆病になってきている気がします。そうなると,子供達もこぢんまりしちゃうんですよね,きっと。もっと子供を信じて,自分を信じて,ぶつかり合いながら,授業していきたいな,と思いました。

小手先じゃないもの,人間としてのバックボーンをもっと磨いていかないとなあと思う三塚でありました。思うだけでなかなか行動に移せない私なのですが,またみなさんと一緒に学んでいきたいなと思ってます。(みっちぃ)

▼BOSS:

さっそくの振り返りコメント,ありがとう! あのスライドショーをつくってて思ったのは,毎日の何気ない日常が歴史をつくっているんだなということです。そこから,「気負う必要はない」でも,「日々のことに手を抜いてはいけない」と思いました。

あ~,明日は土曜日だけど,MAP研だった!
ん~,ちょっと行きたくない気もするけど…。

と,後ろ向きな気持ちになってしまう時でも,自分の背中を少し押して参加したことで,今の自分があるんですよね。(Sphinx)

あ,そして,10周年記念イベントには間に合わなかったけど,夜遅くに来てくれたmab。ありがとう!  ビデオメッセージもありがとう!


チラシ