トップページへのリンク 2010年 MAP研研修会(1月)

MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。

■ 日   時: 2010年 1月16日(土)
■ 場   所: 仙台市民会館 第5会議室
■ 内   容: 学力向上につなげるMAP
■ 講   師: まんちゃん,イマ,みっちぃ
■ 担   当: 研究委員
■ 報   告: いっきゅうさん
■ 参 加 者: 13名

今年度最後の研修会は研究部担当,まんちゃん,イマ,みっちぃがそれぞれ講義や模擬授業をしてくれ,楽しく,そしてためになる研修でした。

イマの発表「研究会なんだから『研究』をしよう」

MAP研究会なんだから,研究したことを発表しようよ,ということで研究したことをまとめて発表するための測定の方法や,論文にすることをテーマにした発表でした。これまでも実践をまとめたり事例発表を行って,よいものをもっているのに,研究をしていることを世に出さなければそれは研究会ではなく,MAP愛好会になってしまいます。

学会などの世に出す論文にまとめることは思っている程難しくないそうです。そこでみんなでイマが用意したスライドを見ながら,論文にまとめるための手順をみんなで学習しました。例えば10歩進んだときの歩行距離についての研究をしたとしたら,という具体的な例をあげて手順を説明してくれました。実践をしたら統計をとって,まとめるということにチャレンジしてみませんかという提案でした。

みっちぃの発表「かかわり合い,認め合い,高め合う集団をつくる特別活動」

みっちぃが大学で研究してきたものをもとに,大崎地区教育研究会で発表したものを紹介してくれました。まず研究するにあたって,グループワークを定義するということ,実践とその短期効果を測定して検定により判定をしたというのがイマの発表につながる部分です。

まずは19年度の研究から。5つのグループワークを協力学級で実践し,その都度測定して検定をかけたということです。グループワークは最初から5つの内容を決めておくのではなく,1回やるごとに児童の様子を見て行うことを決めていくという方法,質問紙もその都度項目の順番を入れ替えるようにして,より確実に測定できるようにしたとのことです。エピソードを交えながら楽しい発表でしたが,思わず聞き入ってしまいましたので記録は省略。

ただ19年度の研究の結果としては,グループワークは集団と個人の意識や人間関係に大きく影響することを客観的に確認できたこと,フレームを考えて実践を重ねることが重要だということが分かったそうです。QUの結果を比べてみた時に,学級生活満足群と呼ばれるところがもしかすると学級生活特に不満はない群や,学級生活満足しているつもり群ではないかということはないのかなという話もありました。

20年度はこの結果をもとにグループワークを計画的に積み重ねたこと,その結果具体的なグループワークが学級集団の凝集性がよりよい方向に高まることに効果をもたらしていることが分かったそうです。質問紙の妥当性や学級間で数値的なデータを比較することがモラル上好ましくないために積極的に行えないといった課題があるということも示されました。また大人を対象にするとグループワークの結果ではなく過程が大事だということがよくいわれるが,子供はやはり結果が影響を及ぼすことがあるということもデータから分かったそうです。

ここで3,4人でグループになってここまでの発表を聞いての話し合いと,発表者へのフィードバックをしました。

イマの発表「振り返りの大切さ」

あなたは振り返りのとき,話そうかな,やっぱやめようかなと悩んだことはありませんか? 研修会に参加して,話したいことを話さず帰ってもやもやした経験をしたことはありませんか? という問い掛けで始まりました。

でもそれも経験の一つだからいいんだよという主張に疑問をもったのが今回の研究のきっかけだそうです。

次に一度エンカウンターの話に。グループエンカウンターとベーシックエンカウンターの主張について分かりやすく説明してくれました。

これと合わせて本線に戻ると,構成的シェアリング+非構成的シェアリングを2段構えで行うと効果的であったということが次からの論文の要旨になるそうです。ここから論文をもとにした話となりました。

まずはグループワークとシェアリングの定義をしっかりします。測定には特定形容詞尺度を使います。実験はワークを4回行い,その間にシェアリングを実施したそうです。構成的シェアリングの結果,平均点が何点になったところで非構成的シェアリングに切り替えるとよいかというのを比較しました。

どこで切り替えてもよい方向に伸びるが,中でも7点満点の3点で切り替えるのが一番伸びが大きかったそうです。つまりグループが出来上がるちょっと手前で切り替えるのがよかったということです。

さらに考察としては,交流が盛んになっている状態で構成的に行うとかえって沈滞するということ,まだ全然できていない状態で非構成的に行っても活発にならないということがいえます。これを学校では,クラス学習や班学習で生かせないかということです。学校ではいちいち質問紙をその都度とっていることはできません。そこでクイックチェックをすることで子供の状態を把握し,その結果がある程度を越えたら自由度を増していくとよいということがあります。例えば最初は教師が指名していくが,グループが出来上がってきたら,みなさんどうですかと問うというように,というお話でした。

ここでまたグループになって話し合い。フィードバックは…

昼休み

ここでお昼休み。コンビニで買ってきた人と,食べにいった人。ちなみに私は食べにいった人。近くの杭州という中華料理屋さんでラーメンと水餃子の日替わりランチセットを食べました。タクシーの運転手さんも食べにくるという評判の通り,すっきりとした醤油味のラーメンで,とてもおいしかったです。【→食べログ

まんちゃんの発表「MAPの手法を取り入れた教科指導」

ペア学習,グループ学習はうまくいっていますか? から始まって,学習内容や狙いに応じながら,さまざまな学習形態を取り入れる方法についての講義と模擬授業でした。

まず4,5月は一斉学習,ペア学習は5,6月,グループ学習は6月,7月に行うという一例があげられました。次に教室の空気をあたためるための活動(国語辞典クイズ)や,一斉学習のウォーミングアップのための活動(狂った果実,滑舌調音,上下左右ジェスチャーバージョン,ハンドアクション)をしました。滑舌調音のための早口言葉の例はネットで検索すればたくさんあるそうです。上下左右ジェスチャーバージョンとハンドアクションは,プレゼンテーションのときのハンドアクションにつなげます。

そしてふりかけは終わって,ご飯であるマイクロディベートに移りました。3人1グループで宮城県立中学校入学者選抜適性検査の作文の問題に求められている力について話し合いました。各グループから発表に続いて,まんちゃんから示されたのは,書く力,読む力,豊かな体験がないといけない,問題解決能力,人間関係調整力でした。問題解決能力と人間関係調整力はまさにMAPで培える部分ではないかということです。

ここからマイクロディベートを実際に体験しました。3人1組で賛成の立場,反対の立場,ジャッジと役割を分担し,同じ論題でこれをローテーションして3回ディベートを行いました。最後にこの活動をMAPとの関連で振り返りました.あー負けちゃったと言えるぐらいの雰囲気があること,つまり素地作りが大事であること,対立が力になる体験,複眼的思考ができるようになることなどです。

最後にフィードバック。

振り返り

 最後に今日の研修会の振り返りをワールドカフェ風にやりました。「学力向上につながるMAP」について3人で話し合い,時間になったらその中から2人が違うグループに行って話し合いをします。最後に元のグループに戻ってきてどんな話があったか伝えます。これらを踏まえ,最後に付箋に「心に残ったキーワード」「明日から実行しようと思うこと」を書いてそれらを見合って話し合いました。ここでは「規律」が大きなテーマになりました。構成的に関連してでのことですが,なんでも最初から自由ではなく,規律がまずあってのことだということです。その切り替えの目安は「3」ということでしょうか。