MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
■ 日 時: | 2008年 7月26日(土) |
■ 場 所: | 富谷町武道館 会議室 |
■ 内 容: | 第1回実践研究会「会員全員アンケートを読んで,今後の方向性を考える!」 |
■ 担 当: | 研究部 |
■ 報 告: | Sphinx |
12名 |
戻り梅雨のどんよりとした曇り空の1日。初めて訪れた富谷町武道館の会議室で,第1回実践研究会が行われました。今日のお題は,会員全員アンケートの集計作業です。来年度,MAP研究会10周年記念事業に向けての研究活動のはじまりの1日ということになります。
まずはじめに,全員アンケートの質問項目をおさらいしましょう。
5月に会員全員に向けて質問を郵送し,これらの質問内容について,それぞれの色のカードに答えを書いて送ってもらいました。
全会員142名に配ったうち,今日までに届いた回答は21名分(回収率14.9%)です。こんなものなのでしょうか? せっかくですので,もっともっと集めたいと思います。これから届いた分も資料に加えていきますので,手元にまだ残っている方は必ず返送してください。
まずは,皆さんから届いたカードに目を通そうということで,それぞれの色を分担して,読んで分類する作業を行いました。23名分といっても,一人5枚ぐらい書くので,全部の枚数を数えると139枚もあります。実践の様子が目に浮かぶものあり,もう少し突っ込んで聞いてみたいものあり。
だいたいまとまったところで,それぞれの色のカードにまわりに集まって,少しフリートークを行いました。
どんな場面で,どういうつもりで使っているかという観点で分類をした。(担当者より)
最近,「教科に生かしていく」という話がよく出てくる。その割には,ここに出ている大部分が,アクティビティにかかわるもので,教科に応用した事例は思ったより出てこなかった。それはある意味当然のことで,児童生徒の実態を見ると,まず人間関係をなんとかしないと先に進めない現状がある。そういう状況の中で,人間関係にダイレクトに響くものを選んでやると,やはりアクティビティ中心の組み立てにはなるだろう。また,「MAPを授業に生かす」というとき,その生かし方にも2種類ある,ひとつは授業の中でアクティビティを活用するやり方で,もう一つはMAPのエッセンスで満たされているけど目に見えるアクティビティのないやり方。
教科で成果を上げるためには,教室の人間関係をきちんとつくっていかなければならない。逆に言うと,人間関係ができた教室での学習は効果的。人間関係をつくるにあたって,直接的にアクティビティをな生かす機会が多くなっているのではないか。
実践が全体的にこぢんまりしている感じがする。冒険とかアドベンチャーの要素はどこに行った?
どこに向けてしたいかという観点で分類した。(担当者より)
こどもに返したいという気持ちがあったが,大人に働きかけていくのも有効なのかなと思った。
防災教育について。被災地では,情報が限られた中で瞬間的に判断することが求められ,どっちに決断しても責められるという状態になる。クロスロードというアクティビティは,そういう被災地における「究極の選択」をシミュレートするアクティビティ。正解はなく,それぞれの答えを出した理由を話し合う中で,自分になかった視点に気づいたり,主体的に考える態度を養ったりすることができる。宮城県沖地震があと10年で60%の確率で起こると言われているが,例えば10年後に起こったら,そのとき今の高校生は25歳〜28歳。地域の大事な働き手になっているはず。将来,活躍できる人材に向けて,このような教育をぜひ行っていきたい。
自分自身が変わったというのが左側。右側は,教師や生徒の変容。(担当者より)
自分自身が変わらないと,やってることが変わらないのがMAP。スキルだけではない,そこを越えたものがある。でも,まずは「児童が,生徒ががかわる」ところから興味を持ってもらうしかない。「生徒に成長してほしい」という思いで参加してくれた先生が,結局自分自身が変わったことに気づく。それがベスト。
フルバリュー・コントラクトのなかの be here を,教室に入るときに常に心がけている。自分も,教室に行く前に,いろんな状況だし,こどもたちもそれぞれの気持ちで参加している。そこを,ひとつにまとめて授業に気持ちを向けるところから始まる。
「学び合う教室」というのはMAPのひとつのゴールのように思うが,それにしてはこのカテゴリーで提出されたカードの枚数は少ない。「学び合う教室」にするためにMAPがどのように有効に使えるのか,これからもしっかり考えていく必要がある。集団づくりや学級開きのアイスブレーキングだけで終わってしまってはいけない。
「グループの話し合い」という言葉の裏に,そこまでの準備とか,その場の持っていき方とか,そういう部分があって,そこにMAPがどう絡むかというところを知りたい。よくKatmanに言われたことは「2人の活動ができていないのに,どうして全体の活動を持ってくるの?」ということ。グループ活動にする前に,まずは1人の他者と2人での活動ができるかどうか。そういうところを綿密に見ていくのがMAP。
学力をあげるためには教室の人間関係を上手く作らないといけないということは,校長会でも話題になって浸透してきた感がある。ある荒れている中学校でスクールカウンセラーをしているが,はじめに伝えるのは be here。振り返りシートなどを用いて,自分の今の気持ちを知っておくというのが大事。荒れている生徒は,表層の瞬間的な感情で行動していることが多いので,そこに自分を深く見つめる体験を入れていく。
ここまで話したところで時間切れ。昼食休憩に入りました。
今年も,財団法人・日本教育公務員共済会宮城県支部から助成金をいただきました。理事長の高橋道郎氏にわざわざ研修会場にお越しいただき,MAP研究会の高嶋先生に助成金を授与していただきました。
さらに高橋理事長には,東ティモールの支援の経験をお話しいただきながら,MAP研究会の活動に大きなエールを送っていただきました。ありがとうございました!
さて,皆さんに書いていただいたカードを読んでみると,いろいろなことが見えてくるように思えました。<赤>や<クリーム>のカードからは,MAP研のメンバーがたくさんの実践事例をもっているということが再認識できました。<黄>のカードからは,私たちがなぜMAPを学ぶのか,そんなことが伝わってきます。<緑>と<グレー>のカードからは「もっと上手くなりたい」「もっとうまく伝えたい」という意欲や向上心が伝わってきます。
<グレー>のカードに書かれた悩みについては,「MAPのQ&A」のような形で,みんなの知恵を集めてベストアンサーで答えていけたらということになりました。
<赤>や<クリーム>のカードに書かれた実践事例については,小さいカードに書いてもらったために,その詳細は分かりません。もう少し中身が分かるように書いてもらうと,みんなが参考にできるものになりそうです。そして,それらネタを継続的にファイルにまとめていくことで,みんなが使えるMAP研オリジナルのアクティビティ集ができるのではないかという話になりました。
新しい実践が報告されたら,それを印刷して配布し,みんなが自分のファイルに綴っていく。誰かが誰かの実践の追試をしたら,その結果も同じようにファイルしていく。
そうやって育てたファイルを,10周年記念イベントのお土産のひとつにしたらどうかなと考えました。
時間を少し延長して,最後に,そのような報告書を書いてもらうための書式と記入例をつくってみました(まだ途中です)。その話の中で出てきた言葉を列挙して,まとめに代えます。
最後に,今回のアンケートは「MAP研究会10年 — その成果と課題 —」という観点から実施されたものです。成果や課題が見えてくるためには,もっとたくさんの回答が寄せられる必要があると考えています。ぜひ,MAP研究会の一員として,この取り組みに参加していただきたいと思います。
また,次回の「第2回実践研究会」では,もう一度集まったカードをまとめながら,「成果と課題」について話し合う時間が必要なのではないかと思います。