第8回研修会活動報告(2月) |
MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
■ 日 時: | 2006年 2月25日(土)10時〜16時 |
■ 場 所: | 太白区区民センター |
■ 内 容: | 事例研究会 |
■ 報 告: | Sphinx |
21名 |
ウォーミングアップ(いっきゅうさん) |
1回目は「じれい」と書いてお題は「魚」。ジンベイザメ,カジキ,カレイ,イワシなどが出てました。2回目は「けんきゅうかい」でお題は「グループの半分以上が知らない専門用語」。できたら班ごとに発表です。昔の漫画やスポーツなどの難しい言葉が出てきて,誰がどんなことに興味を持っているかが分かりました。お題としては導入で使う簡単なものとしては例えば「野菜」,勉強編だと「形容詞」とか,いくつもバリエーションがありそうです。
研究部より事務連絡 |
柳原光先生の体験学習シリーズ(第1巻〜第5巻)を入手しました。希望する会員に貸出をします。貸出の方法については,後日研究部から情報交差点に連絡があります。
事例(1) MAPを学校教育に生かすこと カズさん |
MAPを学校教育に生かしていくことを考えたとき,学校教育の大半を占める教科教育のなかにうまく生かしていくことが一番大切です。
その際,MAPの手法や考え方を活用していくというスタンスが必要です。生徒指導やホームルームなど教科外の部分では,MAPの手法を直接的に生かせるわけですが,教科の場合,内容的・時間的な制約が多く,MAPで学んだことをそのまま活用するというのはなかなか難しいところです(試みる意義はあります)。でも,その手法や考え方を教科のなかに生かしていくことなら,もっと敷居が低いでしょう。そのような生かし方を「間接的生かし方」と表現しました。
【図】MAPの生かし方
教科の中に間接的にMAPを生かしていくとき大事なことは,そこにMAPを用いる目的を明確にすることです。私(カズさん)の場合は,「教科,領域,時間の目標をより効果的に達成させるため」と考えています。社会科なら「社会認識の形成」という目標があるので,その目標を達成するためにMAPを使うとこんなに効果的になる,というふうにとらえています。
そうすると,教材研究をするときも,従来の教材研究に加えて,MAPの考え方や手法をこの教科のどこに,どのように生かそうか,という部分が加わることになります。
最後に概念学習と体験学習について。MAPのもつ特性が十分発揮されて効果的な学びが起こる場面というのは,学級づくりや人間関係の部分だと思います。一方で,教科の中に導入していくというのは,かなり実力を要求されます。MAPについても適材適所というか,どういう場面でどういう生かし方をするかということを考えていくといいのではないでしょうか。
【図】概念学習と体験学習
<意見交換>
事例(2) 5年1組 参観授業「保健」より タッキー |
保健の参観授業で「協力パズル(※1)」を行った事例を発表します。
これまで保健では「心の発達」「心とからだのつながり」という学習をしてきました。「心とからだのつながり」では,例えば不安や悩みがあるときに,心臓がドキドキしたり,頭が痛くなったり,友達と遊ぶ元気がなくなったり,心の変化が体にも影響を与えるということを学習しました。悩みがあるときはどうするかと尋ねると,友達に相談することで気持ちを切り替えることができた答えが出てきました。それを受けて,この時間では「みんなと生きる」というテーマで,他者との関わり方について考えさせることにしました。
協力パズルは,児童の実態を考えて,次のように実施しました。
だいたい10分少々でどのグループもほぼ同時に「バンザイ!」となりました。その後,紙に振り返りを書かせました。その観点は「パズルができる過程で何をしたか,何を考えていたか」と「みんなでバンザイをしたときに,どう感じたか,みんなの様子はどうだったか」の2点です。こちらが期待していた学び(他者との協力)を書いてくれた児童が7名ほどいまいた。
また,保護者向けに資料をつくりました。この資料には,Yes/No 性格診断のような形(ディシジョンツリー)で,参観の観察ポイントが記されています。保護者はそれを見ながら,自分のこどもの学習の様子について観察します。ある児童はすべて「いいえ」になってしまい,保護者が心配してあとで相談に来るということもありました。その際,学校と家庭の様子の情報交換をし,「どのようにしたらいいですか」という質問に対して担任としての考えを伝えることができました。
<意見交換>
(※1)協力パズル:「クラスの人間関係がぐーんとよくなる楽しい活動集」p138
事例(3) 総合的な学習の時間「自己を知る」 あやや |
高校1年生を対象に,進路学習の一環で「自分を知る」という学習を行いました。ジョハリの窓をベースにして「クラスの中の自分」というワークシートを用いて行った,総合的な学習の時間の取り組みを発表します。
今回の学習で用いた資料(ワークシート)は次の3つです。
まず最初に,進路意識チェックをします。4つの観点(自己理解,進学,職業,学問)から現在の進路意識を点数化し,レーダーチャートにする作業です。その中の自己理解に注目させて次の活動に進みます。
クラスの中の自分というワークシートを使います。このワークシートには,「元気な人」「ありがとうが言える人」など42種類の特徴が枠の中に書かれています。そこに自分や友人(クラス全員)の名前を書いて切り離し,その名前を書いた人に手渡しました。すべてのクラスメイトから1枚以上のカードをもらうので,自分の手元にはクラスの人数分のカードが集まります。
最後に,ジョハリの窓のプリントを渡し,友達にもらったカードを参考にしながら3つの窓を埋めていきます。そして「暗黒の窓」には自分の希望する人間像を記入させます。
2時間連続の授業でしたが,生徒たちは(いつもはそれほど仲良しではない)クラスメイトから多くの肯定的な評価を得たことで,とても印象に残る授業になったようで,「賞状をいっぱいもらった気がする」とか「人生最良の日だ」などの言葉も聞かれました。
<意見交換>
(※2)自己表現ワークシート(諸富祥彦監修 大竹直子著)
http://www.toshobunka.co.jp/books/booksapp/isbn/ISBN4-8100-5447-0.asp
事例(4) 書籍紹介『自閉症児のサポートブック』 Sphinx |
サポートブックとは自閉症児の日常生活や余暇をサポートする支援者のために,主に保護者が作成する個別の支援マニュアルです。食事,トイレ,入浴など日常生活での支援の仕方,パニック等の問題行動のきっかけや対処方法など,その子のサポートに必要な情報がまとめられています。支援者や場所が変わっても同じように支援することで,自閉症児が混乱することを防ぐことができます。自閉症児が保護者のを離れ,自立した生活を送るために欠かせないツールです。
なぜ自閉症児の本をMAP研で紹介するか。それはこの体験学習サイクルの図をごらんになれば分かると思います。サポートブックをつくるということは,他者に自分のこどものことを言葉で伝えるということ。その過程で,保護者は自分のこどもの特徴や自分自身の対応について見つめ直す機会を得るのです。それによって例えば,こどもがパニックを起こしたとき,なぜパニックが起こったか,自分がどう行動したかを考え,次はこう対処してみようというように思考が回転するようになります。支援者のためのツールが,保護者の子育てをより良くするツールにもなっているというわけです。
この本を玉川大学の難波先生が,ゼミの教科書として採用されたそうです。著者の高橋みかわさんは,自閉症の息子さんとスキーや水泳をするスポーツウーマンです。くりこま高原自然学校のマスターとの親交もあり,昨年度の全国ミーティングでは,自然学校で行った自閉症児のスキー合宿について発表しました。そのスキー合宿でも,このサポートブックが大活躍しました。
事例(5) キャリア教育 まんちゃん |
私(まんちゃん)の学年は,今,卒業目前です。卒業に向けて今一度,みんなで協力してやっていこうというねらいで,このアクティビティを行いました。
このアクティビティは先日の研修で行った「匠の里(※4)」と同じようなコミュニケーションのアクティビティです。今回の研修では参加者を3つのグループ(5〜6人)に分けて行いました。
(※3)体験学習実践研究 Volume 4 2004年11月(体験学習研究会)より
(※4)匠の里:南山大学の津村先生のサイトでワークシートが公開されています。
http://www.nanzan-u.ac.jp/~tsumura/
3年間の中学生活を振り返り,校内で自分にとって思い出深い場所とその理由をプリントに書きます。その後で,友人からコメントをもらいます。「思い出の人」とかだと書きにくいのですが,「場所」にすると,本当の気持ちが出てくるようです。良いものは,卒業式の答辞の中に入れる予定です。
プリントに6種類の未来像が書かれています(「家庭第一,仕事は第二」など)。その6つの中から自分の考えに合うものをひとつ選び,同じものを選んだ人同士でグループをつくります。自分が選んだ将来像について,その問題点や良いところを話し合い,画用紙にまとめて発表します。
卒業にあたり,保護者へ感謝の手紙を書きます。この手紙は卒業式の受付で保護者に渡されます。
成人した自分に向けて,8つの観点から選んで手紙を書きます。これは成人式で本人に渡す予定です。
<意見交換>
事例(6) 卒業に向けてみんなでまとまろう! えんやす |
3つの観点から,6年間を振り返ってクラス全員でマインドマップをつくりました。
卒業までに大切にしていきたいことを,1人1人がボールに記し,人数分のボールをバケツに入れました。
クラス全員で,卒業に向けてみんなでやっていこうというねらいを込めて,ニトロクロッシングを行いました。学びのバケツも一緒に持って,1人1人の「大切にしたいこと」も,工夫して一緒に運びました。
事例(7) PAJ 10周年シンポジウムの報告 まいける(代理:えんやす) |
平成17年11月12日(土)~13日(日)、東京都「高尾の森わくわくビレッジ」を会場にPAJ10周年記念シンポジウムが開催されました。MAP研メンバーからも多く参加がありました。また、バッチ、けんや、まいけるが分科会の発表者として、学校での実践を発表しました。 PAJのスタッフはもちろん、全国の実践者、そして、なんとPA創始者のカール・ロンキやジム・ショーエルもそろっての盛大なシンポジウムでした。
残念ながら参加できなかった皆さんのために、その様子をお知らせしたいと思います。
会場となった「高尾の森わくわくビレッジ」は、廃校になった高校を野外活動・スポーツ施設、文化・学習施設、宿泊施設に改築した施設です。宿泊室は元教室、なんとお風呂は元図書室だったりして、なかなかおもしろい作りになっています。元校庭部分にPAの新しいエレメントができていました。
①一見「なんじゃこりゃ!」というタワー。手前のひめを基準に高さをご想像下さい。 | ②別の角度から撮ってみました。タワー以外にもなにやら、パンパーポールのようなものが・・・。(奥に見えるのが体育館) |
とりあえず4人で登り始める。 | 何とか4人で台の上に立ったら・・・。 | バランスをとって、広がってみましょう。 |
そのまま、後ろ向きに倒れます。*ちなみに倒れ込んでいる手と足はショウ |
ジムとカールが、PAの始まりからのお話を聞かせてくれました。苦労話や今となっては「えっ~」なんて秘話も・・・。パンパーポールの「パンパー」って何でそんな名前が付いたか?知ってました?
2人とも、ご高齢(失礼!)なのに、実に若々しく、華麗なステップまで披露してくれました。どんなステップかは、次回MAP研で・・・。
オープニングセッションに続いて、分科会。分科会は、12日の午後にも設定されていて、小中高等学校や大学での実践、女子少年院での導入、青少年教育施設での展開などについて報告がありました。各分科会の詳細については、資料がありますから、MAP研の折りにでも紹介したいと思っています。
レストランを貸し切っての豪華な交流会。スタートは鏡開き。ここで、何とPAの焼き印の入った升が配られました。(この升は12月のMAP研のプレゼント大会に出品されました)
全国で実践している仲間が一堂に会し、苦労話や情報交換をしているうちにあっという間に時間が過ぎ、「古我地」のさんしんライブが始まりました。沖縄民謡と泡盛の組み合わせは最高でした。
泡盛の余韻から目覚めまずはカールの部屋へ。体育館には150名ほどの参加者がいる中で楽しいActを交えて、参加者の質問にも分かりやすく答えてくれました。
事例(8) PAJ 10周年シンポジウムの発表より kenya |
2年生のクラスでビーイングをしました。「どんなクラスにしたい?」というのを中に,「されて嫌なこと」を外に書き込みました。低学年だと特に外側に書かれることがけっこうきつい感じになるので,いいことがあったときにそれをカードに書いて,外側の「されて嫌なこと」の上にペタペタと貼りました。完全に貼り付けないで,めくると下のものも見えるようにしてあって,必要な場面ではめくって確認したりします。
また,こどもたちが決める目標とは別に,担任の思いをぶつける目標もつくりました。「正直に(ずるはしない)」「大切に(自分も友達も)」「チャレンジする」に加えて,なかなか良かったのが「しっぱいしたとき(どんな仲間でいたい)」という目標です。
こどもたちがつくる目標は,「〜しない」という否定の目標が多いのですが,だんだん肯定的な目標も書けるようになりました。また,帰りの会ではその日にあった「よかったこと」を出し合って,カードに書いて真ん中に貼っていきました。貼るスペースがなくなると,カードとカードの間から浮き出させて貼ったりして,だんだん立体的なビーイングになっていきました。
グループの意志決定がなかなか難しいので,学校生活のいろんなところで「自分たちで決める」場面を設定しました。例えば,給食当番の中身をどうするかなど,1週間に1度とか毎日とか,決めるシーンがあります。そこで,どんな決め方をするかを決めてから,自分たちで決めるようにさせています。順番にするのか,じゃんけんなのか,多数決なのかなど。
何かもめ事が起こったときも「決め方を決めた?」と聞くと「あ〜,決めてなかった」といいながら,うまく決め方を決めて,意志決定できるようになっていきました。また時間を決めて決定させることで,なかなかまとまらないことも,なんとか折り合いをつけられるようになりました。
秋の収穫祭という行事では,2年生が班ごとにゲームの出店を開き,1年生を招待してもてなします。本番の前に,まず2年生だけで出店を開いてやってみました。そうすると,お客さんがこないとか,いろんな問題が起こります。そこで起こったことを振り返り,本番に向けて工夫をしていくと,本番では上手に1年生をもてなすことができました。
2人にカードを2枚渡して,足して10になる数字の組み合わせを書いてもらいます。それを全員でどんどんシャッフルしていきます。適当なところでエリアの半分に全員を集めて…
こっち半分が1の位の世界,あちらが10の世界。真ん中に見えない壁があります。自分のカードの数字と合わせて10になるカードを持っている人を捜して,手をつないで10の世界に渡ってください。渡るときはこんなゼスチャーと声をつけて。
10の合成分解を,ゲーム的に理解させた例です。
この次に「いそがしい牛乳屋さん」というのがありまして,牛乳パックを使って,注文を受けた数だけそろえて運ぶというアクティビティです。「32個注文が入りました!」となると,10個のセットを3つと2個を運ぶという具合です。そこで「8個注文取り消しです」となると,10個のセットを一度戻してから,2個を戻すという作業になります。これが筆算の繰り下がり。こうやってゲームのルールが,いつの間にか学習(筆算)のルールに変わっていくという仕掛けになっています。
小学校低学年での英語ということで,英語を話しやすい雰囲気をどうつくるかというのがポイントです。
同じフレーズを繰り返しながら歌う歌を活用して,簡単な単語をみんなで言いながら,そのフレーズ全体にいつの間にかなじんでいくというネタがいくつかあります。例えば,
もう一つは,「ZOOM」にヒントを得てつくったもので,いくつかのカードが連続した絵になっています。カードの境目には,半分に切れたカニ(crab)とイルカ(dolphin)が書いてあります。それは黄色だったりピンクだったり,大きかったり小さかったり,点模様があったりなかったり,数や場所もいろいろです。
自分の持っているカードだけを見ることができて,あとは英語で会話をして自分のカードにつながるカードを持っている人を探すというものです。「Excuse me. Do you have yellow dolphin?」という感じでさがしてください。
こどもたちとやるときは,はじめる前に個人的な目標を設定してもらいます。例えば「大声で探す」とか「ちゃんと英語の文章にして尋ねる」とか「単語を並べて聞く」とか。また「周りの人が助けよう!」というふうに持っていくといいです。
事例(9) PAを参考にした幼児教育の取り組み かりっち |
私は山形県の幼稚園で働いていて,2歳児クラスを担当しています。MAP研には数年ぶりの参加です。今日は,保育園に勤めていた頃に,5歳児クラスでPAのアクティビティを活用してソーシャルスキルトレーニングにチャレンジしたときの様子を紹介します。
PAに出会ってすぐにビーイングに挑戦しました。人型をつくって「友達にしてほしいこと」を中に,「友達にしてほしくないこと」を外側に書きました。園児はまだ字が書けないので,字は私が書きました。このビーイングは,せっかくつくったのに,そのうち誰も見なくなってしまいました。自分たち(園児)が関わっていないビーイングだったからだと,あるとき気付きました。
そこで,次のバージョンでは園児と一緒につくることにしました。左の人形が「してほしいこと」,右の人形が「してほしくないこと」です。人物の表情や髪型も,こどもたちが考えました。こちらのビーイングは,園児にとってとても意味のあるものになりました。例えば誰かがイライラしていすを投げてしまうと,別の園児がそのビーイングの所に連れて行き「いす投げてダメだって書いてあるべぇ!」と言うのです。そうすると,投げた子も「あ,そうだった」ということで,落ち着きを取り戻したりしていました(話しができすぎと言われますが,私も驚きました)。その後もこのビーイングには,場面場面で言葉が足されていき,卒園までずっと活躍してくれました。
夏のクラス懇談で,保護者の皆さんにビーイングをつくっていただきました。手型の中には「こんな子に育ってほしい」という願いを,外側には「そのために自分が親としてできること」を書きました。こんなことするの久しぶりだよね〜などと,活動自体をとても楽しんでいる様子でした。また,お迎えで来園したときなど,それを見直しているお母さんもいらっしゃいました。
山形市では,今年から幼稚園に2歳児の受け入れをはじめました。2歳児クラスは,園児6名に教師が1名つきます。クラスが始まった頃は,気持ちから直接行動につながってしまう(例えば手が出る)場面がよくありました。
まずはじめに,仲良しのAくんとBちゃんが,電話のおもちゃでの遊びをきっかけに対立するシーンを見ていただきます。Bちゃんの手がまず出てしまって,ちょっとしたいさかいがおこります。次のシーンでは,Bちゃんは手を後ろで結んでAくんに近づいていっています。Bちゃんなりに「がまんしよう」という気持ちが,この姿に表れています。
次の場面は,「しろくまちゃんのほっとけーき」を読んで,実際にホットケーキをつくろうというシーンです。Cちゃんが生地をかき混ぜている様子をAくんがうらやましそうに見ています。次にAくんの番。ところが,Aくんはなかなか次の人にまわそうとせず,他の子に催促されても,まるで聞く耳はなく,ずっとこねる作業に没頭しています。こういう「自分のしたいことに集中する」という行動は,このころの発達段階では必要な行動です。しばらくこねて自分なりに満足したAくんが,やっと次のお友達にボウルを渡した時,短い言葉でほめてあげます。
こうして見ていただいた保育の様子は,ごくごく普通の活動だったと思います。年齢に応じた活動の中にも体験を通して学ぶサイクルは流れ続けていると思います。それは無意識のうちに流れているのかもしれません。PAやMAPはそれを意識する手立てとしても活用できるものだと思っています。
○報告者より
この事例研究会の報告は,発表者が語っているようにまとめてみましたが,これは発表者の言葉そのものではなく,報告を書いたSphinxのフィルターを通したものです。もしかすると,発表者の方々の真意からずれた部分があるかもしれません。その責任はすべて報告者である私が負うものです。(Sphinx)