MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
■ 日 時: | 2004年 1月24日(土)10:00〜16:00 |
■ 場 所: | 太白区文化センター 会議室 |
■ 内 容: | 事例研究会 |
■ 報 告: | まんちゃん |
■ 参 加 者: | 17名 ショウ,たく,こんちゃん,かず,Kenya,まいける,ひめ,浜ちゃん,Batti,えんやす,だてちゃん,Sphinx,Bob!,いっきゅうさん,BOSS,Nancy,まんちゃん |
お互いのMAP実践事例を持ち寄って行いました。事例の内容については学級活動,授業,特別活動,部活動への導入など,何でもかまわないという研究会の案内どおり,多岐の分野にわたっての発表でした。実践事例をまとめたものを印刷して持参するということでしたが,発表のスタイルは,印刷物,パソコンによるプレゼン,ビデオ,ホワイトボードを使ってなど人さまざまでした。
発表時間は各20分,質疑応答5分が目安ということで進めました。しかし,時間が超過しがちで,その皺寄せが事務局のかずさんの発表にいくことになり,また最終的には約1時間超過の研修となりました。それだけ盛り上がったともいえることなのですが,タイムマネイジメントについては,研究会会員の課題の一つといえるかもしれません。
○紙面発表(群馬県桐生市桜木小学校,まあこ)
今年度のPAJ研修(AP)を受講して会員になった,まあこの紙面発表。事例報告資料の配布という形での参加。
6年1組の日・・・「PAをふだんの生活に」(学級活動活動),「みんなでつくろう」(図工科),「PA活動」(総合的な学習)の実践資料をA4で6枚,B4で8枚の力作。この研修会の次の週に,まいけるとKATがまあこの勤務校を訪れることになっていました。資料を読んだ皆さんはぜひフィードバックをまあこにお願いします。
○涌谷中学校と養護学校での実践(まんちゃん)
僕の発表はとるに足りない発表内容なので,規定時間よりも短く発表して他の人の発表に時間を割いてもらおうと思っていたのですが,実際に話を始めたら5分の超過となってしまい,反省しています。
MAP活動推進校での実践(前任校の涌谷中学校)
- 学校全体での取り組みの内容。
- 学年主任の立場で学級担任とティームティーチングによる授業。学年全体で(5学級それぞれで)MAPの活動の行った事例をパワーポイントで。
- 平成12年,つまりMAP元年当時のもので,アクティビティをすること自体が目的だったようなところが強かった事例を発表。しかし,それがその後の,活動のねらいや目的をしっかり踏まえて教育課程に組み込んでいくことにつながったことを話した。
迫養護学校での実践
- 障害児は健常児よりもコンフォートゾーンが狭いと考えられる。コンフォートゾーンを広げていくことが生徒の成長であることを説明。
- 迫養護学校では教科書を使用していない。その生徒に合った教育課程を組み立てていくことは,MAP的に言えば,つまりシークエンスの能力が要求されるということであり,一日の学校生活の流れ(タイムテーブル)に,アイスブレーキン,ウォームアップ,ディインヒビタイザー,イニシアチブなど段階の考え方を取り入れていることを話した。
- 養護学校は,特殊諸学校の教員,小学校出身,中学校出身,高校出身の教員が集まって教師集団
を構成しており,そこでの意思疎通や共通理解,共通行動は他の学校種と比べて難しい面がある。しかも,一日の授業のほとんどがTTで進められることから,その重要性は高い。MAP関係の研修から学んだことがいろいろな場面で生かされてくることを話した。
○班活動でのビーイングの事例(岩沼西小学校,Kenya)
学級全体でのビーイングも行うが,どうも人数が多くなるとそのビーイングの効果や成長の度合いが分かりにくい。そこで,班ごとのビーイングをやってみた事例を,児童の作ったビーイングをビデオで映写しながらの発表。
- ビーイングの必要性を生徒は持っていない。そこでどうするかを考えた。
- 学級全体の時はあまり書けなかったが班ごとだと書ける。(ミニビーイング)
- 1ヶ月に1回の席替えで,それに伴う班替え。学級の誰とでも気持ちよく生活できるようにという願いがある。
- 班ごとに目標を立てて,体験,振り返りをして一般化(体験学習サイクル)。
- 最初は班の目標の立て方が分からずふざけているものがあったが,だんだんしっかりしたものになってきた。
- 紙に書かせる事柄は,「みんなの目標」「その班のために何ができますか」
- 問題が発生した場合,自分達でなんとか解決するように促す。(解決するためにどんなことができますか?という問いかけなど)
- 班やメンバーが嫌だ好きだと言っていないで,その中で楽しみましょう。
- 学習グループの中では話し合い活動ができている。
- 班の中に目標があるから,振り返りができる。
- 学級全体でのビーイングは,4月ではなく学期の途中で行う。児童が必要と感じていないものを出させるのは難しい。学期の途中だと,それまでにいろいろな問題が発生していたり,課題が見えてきたりしているので,取り組みやすい。ニーズのあった時がタイミング。
○MAPを生かした特別指導(蔵王高校での特別指導,Bob!)
- 無免許バイクの3人乗りの特別指導の事例
特別指導の時はABC理論を用いている。かっときて(A)すぐに行動に移してしまう(B)生徒は,AとBの結びつきが強く,そこに時間や余裕,思考がないと考えられる。特別指導を受けて,認識(C)し,はっと気づくことが多い。そしてまた同じ誤りを繰り返すこともある。
- 通常のパターンではなく,GRABBSSをしながら特別指導を進めていき,解除までに至る。
- トイレ掃除の例。トイレ掃除を罰として与えるのではなく,掃除を一つのアクティビティとして与える。目標設定し,活動,そして自己評価をするように促す。
- 13本のクギ
- ハイエレメント体験(ジャイアントラダーとパンパーポール)。「命を大事にしろ」と説諭するのではなく,生徒自身に体験から感じとってもらう。ビレーするのは同じ部活動の部員達。
- 割れた花瓶
- セーブズエッグ(エッグシェルター)
- 親子のハイエレメント(ジャイアントラダ―)
- 対立のエスカレーター
- 担任と生徒のハイエレメント
MAPを生かした特別指導により,劇的に変わった生徒もいる。残念ながら変わらなかった生徒もいる。しかし,変わるきっかっけを与え続ける。「教育改革と体験学習法全国ミーティング2003」でも発表した事例。
○MAPの手法を生かした児童会活動への取り組み方(富ケ丘小学校,えんやす)
- MAP学校訪問体験会を行った後,職員室にビーイングを貼ってあり,職員会議の後や普段の生活の中で振り返ることがある。学校訪問体験会の影響をあるが,職員室は前からできていた。
- 「花山ぼうけん合宿」を宿泊学習として行い,全日程でMAPの手法を取り入れた。
- MAPの基本理念である「自分の意志を大切にすること(チャレンジバイチョイス)」「仲間を大切にすること(フルバリューコントラクト)」の考え方を児童に体験を通して学びとってもらい,体験学習サイクルを指導者が意識して,活動を促進してくとができれば,児童会活動がより自発的,自治的になり,一人一人が魅力を感じて意欲的に取り組むことになるであろうと考えた。
- 「新しい委員会をみんなでつくろう」と呼びかけ,前年度の児童委員会をただ踏襲するのではなく,自分達で必要だと思う委員会を設立するところから始めた。
- 学年全員の話し合いによるメンバー決め。
- 毎回,具体的な目標を設定(今回のチャレンジという題目)し,それに取り組んで活動し,振り返る。そして次の活動目標をたてるという体験学習サイクルを意識している。
- 個人の振り返りと次の目標
- 児童会総会で意見として提案された「投書箱」を設置。その投書の中に震災を受けた人々を元気づけたいという内容のものがあった。代表委員会の議題にして話し合った結果,同じ小学生である松島四小への児童に心のメッセージをおくりたいということにまとまり,取り組んだ。
- 自発的,自主的な活動を促した。
- クラスで行ったMAPを他の教員が見ていてくれて,興味をもってくれる。
第24回宮城県特別活動部会でも事例発表を行った。印刷資料とパワーポイントによる発表。
○女川高校で行った学校訪問体験会で使用したプレゼン(蔵王高校,Sphinx)
学校訪問前に女川高の教頭先生に研修会についての要望を聞いたところ,全体の研修の半分を体験,残り半分ぐらいを理論というニーズがあったので,「MAPの概要」をパワーポイントで作成した。
○MAPの概要
MAPって何だろう? | - 体験型学習
- 人間関係やコミュニケーション能力を高める
- いくつもの冒険活動が用意
- プロジェクトアドベンチャーが理論的背景
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体験学習法の実習 | |
体験学習法とは | |
グループにおける人間関係 | - 肯定的な自己概念
- グループと個人の関係
- グループ内での役割
- ルールの共有
- 目標の共有
↓ 信頼関係 |
冒険活動(アクティビティ) | - 知り合う,楽しむ
- ちょっと恥ずかしいことをする
- コミュニケーション
- 意思決定,課題解決
- 信頼関係を強める
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PAについて | ↑ <冒険活動>- 他者とのかかわり
- 心の葛藤を乗り越える→達成感・仲間への信頼
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MAPで教師はどう変わる? | - 生徒の人格をより尊重するようになる
- 体験学習サイクルを意識した関わり方
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MAP用語の基礎知識 | - Cゾーン
- 心の安全
- 心の壁を下げる
- フルバリュー
- チャレンジバイチョイス
- フィードバックとフィードアタック
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実践例 | - 氷山モデルの例示
- 日常の学校生活の中で体験学習サイクルをまわしていく
- 日々悩み中,日々葛藤,正解もない,いつも未熟,でもやる!
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- 豊富な静止画や動画を使ってのプレゼン。
- 受講した先生方からたくさんの質問があった。
- MAPの理論的背景をもっと伝えていく必要があるのでは?
- このプレゼンのようなフロントローディングは必要か?教員はこの方法の研修に慣れており,これにより安心したり分かった気になってしまう。しかし,安心したり分かった気になるということは冒険的ではないとも言える。時と場合で使い分けると有効ではないか。
- 構成的グループエンカウンターとプロジェクトアドベンチャーの違いは何か?
SGEはどちらかというと自己受容的だし,PAはどちらかというと自己変容的なのではないか。
○実践プリントの紹介
- 考査の欠点科目保持者指導(1)&(2)
- 温怒計
- 対立エスカレーター
- 8月〜12月を振り返って(振り返りシート)
- 1年1組居心地アンケート〜クラスの約束づくり(ビーイング)
- やはり生徒達自身のニーズというものが大切なのではないか。クラスの人間関係に問題が発生したところでビーイングをすると,いろんな意見や気持ちが出てくる。
- 高校ではアクティビティはやりにくい。アクティビティを持ち出すだけで,生徒たちは一歩も二歩も引いてしまう。体験学習サイクルがまわっていれば,アクティビティにこだわる必要はない。
○MAP実践報告(鬼首小学校,BOSS)
- 平成14年度の取り組みとして,ラインナップを算数科単元「少数と整数のしくみ」で行った。
- 実践したアクティビティ例は,マインフィールド,マシュマロリバー,様々な鬼ごっこ,等。
- フルバリューバケツを学級活動で行った。クラス内でトラブルがあったときに,表面上は何もないように見えても,以前からお互いに様々な不満や疑いを抱きあっていることがわかった。「今回のトラブルのことを許したくないので,リセットしたくない」という児童もいた。幼稚園時代からずっと単一学級で同じメンバーで続いている人間関係で,その修復の難しさがあった。もう一度クラスの関係を築く中で,今後クラスに必要なことを考え合い,各自の考えや思いをボールに記入させた。その後,ビーイング的な活動をし,自分の誓いを一枚の模造紙に書き合った。
- 平成15年度の取り組みとして,ニトロクロッシングを学級活動で行った。体形的にリスクをかかえる児童や運動能力的にリスクをかかえる児童と,その他の児童の関わりが興味深かった。
- 実践したアクティビティの例は,TPシャッフル,スピードラビット,ロブザネスト,間違い探し,指フェンシング,ビルのボタン工場,ミラーストレッチ,等。
○掃除の振り返り,反省会声がけ33パターン(松ケ浜小学校,いっきゅうさん)
4年生25名のクラス。男子18名,女子9名で男女の比率が偏っている。実態として活力があるが,落ち着きがない。清掃が終わった後の反省会が,毎日やっているとパターン化(マンネリ化)してしまう。そこで,清掃の時間の取り組みについて工夫してみた。名づけて「FV(フルバリュー)おそうじ」。自分達でどこをやるかを決め,自分で納得するようにやる。
<班・グループの意識を高めたいとき> |
- 掃除をしているときに,どんな声が聞こえた?
- みんなで協力した度を親指メーターでどうぞ
- 今日の掃除を振り返って,協力した場面でVTRを止めよう
- 今日の掃除を振り返って,思いやった場面でVTRを止めよう
- 今日の(グループの)掃除のできを,みんなで一つのポーズであらわそう(話し合い)
- 今日の(グループの)掃除のできを色で言うと何色?(話し合い) それはなぜ?
- グループの掃除のできを顔の表情で表してください
- 昨日の振り返りで出てきたことが生かされた場面はあった?
- 昨日よりよかったなあと思える場面があったらどうぞ
- 気持ちよく掃除をするためのコツって何?
- どんなことに力を入れるか,グループで決めてから掃除をしよう。どうだった?
- 明日の掃除に持っていきたいことは何?
- 次の分担場所に持っていきたいことは何?
- ビーイングのこれに関係するな!と思えることがあったらどう
- う〜,いえす! で解散
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<個人の振り返りを大切にしたいときに> |
- 自分の協力した度を親指メーターでどうぞ
- 今日の(自分の)掃除のできをポーズで表そう。それはなぜ?
- 今日の(自分の)掃除のできを色で言うと何色?それはなぜ?
- 今日の気分をポーズで表してください。それはなぜ?
- 今日の気分を色で言うと何色? それはなぜ?
- 自分はどんなことに気をつけて取り組んだ?
- どんなことに力を入れるか決めてから掃除をしよう。どうだった?
- 自分の掃除のできを顔の表情で表してください
- 明日の掃除にもっていきたいことは何?
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<一生懸命取り組ませたい,ふざけをいましめたいときに> |
- がんばっていた人を指さしましょう。それはどうして?
- がんばっていた人を言いましょう。どういうところが?
- 昨日より自分はよかったなあと思えることがあったらどうぞ
- 昨日の掃除と比べてどうだった?
- 最高の掃除って,どんな様子?
- VTRを巻き戻します。再生をしますが,これはよくなかったなと思うところにはテープに傷がついているので,そこで止まってしまいます。でさ再スタート。最後まで見れた?
- いつもは掃除しないところを一つやりましょう
|
<その他> |
- もう一つだけ,掃除場所をきれいにするために何かするとしたら,何をする?
- 何でもいいのでどうぞ
|
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○高校入試時の面接&作文指導の工夫(拓桃養護学校,浜ちゃん)
- 「自分ってなに?」にうまく応えられない生徒に,マインドマッピングで「自分とは何か」をまとめさせ,自己理解を深めさせる。そして,模擬面接,作文の練習をする。
- 友達とマインドマップを見せ合って共有したり,参考にしてまた作り直す。
- 「自分は身体に障害があるということを認めたくなかったが,受け入れることができた」という生徒もいた。
- この指導によって,面接や作文での答え方に幅が出てきた。
- 「こういうふうに聞かれたらこう応えなさい」というような指導のしかたは一切やらなかった。
- クラスに参加する前に,自己理解を深めておく必要があると思う。「自分ってどんな人か」と見つめる機会が少ない。
- 参考図書「人生に奇跡を起こすノート術」トニー・ブザン著,田中孝顕訳 きこ書房 1500円
○学校教育におけるMAPの生かし方(広原小学校 かず)
- 事例1 総合的な学習の時間の追究活動に生かす工夫「おじいさん,おばあさんとなかよし」
- 事例2 英語活動に生かす工夫「「〜がほしいですか?」
- 事例3 社会科学習に生かす工夫「人々のくらしとわたしたちのくらし」
- A4で33ページの冊子を用意していただき,かずさんありがとうございました。結局,紙面発表になってしまいましたが,帰宅してから読ませてもらいました。
○たくちゃんのお話と会員の意見交換
- 来年度,MAP研究会の研修として,指導力アップのために,スキルアップトレーニング研修や事例研究を積極的に行いたいという,PAJのチーフトレーナーのKATからの提案があった。
- 来年度,MAP研究会の組織をしっかり作ってみてはどうか,例えば校内研修組織のように,○○部とか○○部とかいうふうに。
- 来年度のMAP研究会の進め方を2月の研修会で話し合う時間をとりたい。
- MAP研究会で,何か一つのテーマまたは場面(例えば今回の「清掃指導」とか「児童・生徒会活動」とかいうふうに)の事例研究や話し合いを行ってみるのもよいと思う。
- 今年度中に配付される予定のMAP事例集の読み合わせなどをやってみるのもよいと思う。
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