MAP研究会は,(財)カメイ社会教育振興財団
宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。

 = 利府町立しらかし台中学校 =
= アドベンチャープログラム体験会・活動報告 =
(Sphinx)

 1月20日(土)に利府町立しらかし台中学校でアドベンチャープログラム体験会が開催されました。PTA行事の一環として親子の交流をねらいに行われたもので,MAP研究会から7名がファシリテーターとして参加しました。

●参加したMAPメンバー(7名)

 さくら,BOB,ピーチボーイ,わぶん,オカちゃん,マンちゃん,Sphinx

●スケジュール

1月20日(土)9時から11時

 8:00 集合(メンバー内で事前打ち合わせ)
 9:00 開会の言葉・校長先生のあいさつ・学年主任のあいさつ
      学年委員長のあいさつ・MAP研究会の参加者紹介
 9:10 1〜3組 PA活動開始
10:00 1〜3組 PA活動終了/4〜7組 PA活動開始
10:50             4〜7組 PA活動終了
10:50 整列・学年副委員長のあいさつ
11:00 閉会の言葉

●アセスメントと計画

対 象 しらかし台中学校1学年+保護者(461人)予定
目 的 親子で楽しいひとときを過ごす
(グループで目標設定をしてそれを達成する喜びを味わわせたい)
場 所 しらかし台中学校の体育館(バスケットボールコート2面の大きさ)
人 数 前半約200名/後半約260名
環 境 時期的に寒い,人数に比べて場所が狭い,全員運動靴を履いている
時 間 前半(1組〜3組)/後半(4組〜7組)に分かれてそれぞれ50分ずつ
シークエンスの
組み立て
  1. ウォームアップ(全員で)
    • ミラーストレッチ
    • カンフータッチ
    • エレファントタグ(鬼4ペア)
  2. ディインヒビタイザー(グループ別)
    • スピードラビット
  3. イニシアチブ(20分)
    • スタンドアップ または ワープスピード
  4. 最後のまとめ
    • 一本締め

●当日の様子

 とても寒い1日でした。中学校に向かう道路の気温掲示はなんと氷点下7℃。しらかし台中学校の体育館もとっても寒くて手がかじかみました。私は暖房つきの養護学校体育館に慣れてしまったので,とてもこたえました。

 8時50分。まず生徒たちがぞろぞろと体育館に入ってきて整列。その後ろに保護者の皆さんが三々五々集まってきました。保護者の参加者は,予定よりも少ないようでした。まずは開会のセレモニー。長くなるかと心配されましたが,皆さん「ひとことで!」という約束をしっかり守って時間通り終了。前半のグループと後半のグループに分かれていざスタート。

1.ウォームアップ

ミラーストレッチ二人ペアで向かい合って手を合わせ,互いに鏡に映っているように同じ動作でストレッチをする。
カンフータッチ二人で向かい合って,太極拳風の手の動きをしながら素早く相手のひじにタッチする。自分は相手にタッチされないように攻撃をかわす。
エレファントタグ二人のペアが鬼になり手をつなぐ。外側の手にはウレタンの剣を持つ(それがゾウの牙)。ウレタンの牙で鬼にタッチされたら,その人も鬼に加わる。最後には全員が鬼になる。今回は4つのグループを作りたかったので,4ペアの鬼でスタートした。

 生徒の皆さんにはクラスごと男女各2列ずつに並んでもらいました。これは,ミラーストレッチとカンフータッチを,気心の知れた同性同士で行ってもらうためです。保護者の皆さんには生徒の後ろに並んでもらい,保護者同士でペアを組んでもらいました。

 はじめに壇上で,ピーチボーイから安全についての注意と静かにするときの合図(頭の上で両手をひらひら)の説明を行いました。その後,オカちゃんとマンちゃんが壇上でモデルになって,ミラーストレッチの説明。最初はとまどい気味の皆さんでしたが,動き出すと心と体がほぐれてきて,次第に笑顔がこぼれていました。皆さん,こちらの予想以上に積極的です。しかし,80組近いペアがそれぞれミラーストレッチをしている姿は圧巻でした。

 静かにする合図でみんな活動をやめて壇上に注目した後,カンフータッチの説明。やはりオカちゃんマンちゃんコンビがモデルをしました。二人のコミカルな戦いにみなさん大笑い。生徒も保護者も笑顔でチャレンジ。やはりこちらの予想以上に盛り上がってやっていて,活動に乗り遅れているような参加者は私が探した範囲では見あたりませんでした。

 当初の予定では,ここまでの間に「活動にいまひとつ乗り遅れている人」を探しておき,次のエレファントタグのときに鬼をしてもらって雰囲気に追いついてもらおうという計画だったのですが,そんな心配は必要ありませんでした。それでもいちおう計画通りに,カンフータッチの間にウレタンの剣(何て言うの?)を生徒と保護者8名の近くにさりげなく置いて鬼を決めました。

 エレファントタグの説明は,ファシリテーター全員が壇にあがって行いました。さくらとSphinxが最初の鬼,その他がつかまる役です。BOBがつかまったときに剣の先がぽっきり折れて予想外にうけました。説明の後で自分の近くに剣が落ちている人を集めて,保護者と生徒のペアを4組作り,鬼ごっこのはじまり!これはとても盛り上がりました,鬼はけんめいに追いかけ,みんなは全力で逃げます。150名が走り回るのでぶつかったりしないかと心配でしたが,案外大丈夫でした。そして予想外のことがもう一つ。5分もやればみんなつかまって4つの巨大なエレファントができると思ったのに,やってみるとけっこうつかまらないんです。ある程度鬼が長くなってしまうと動きが鈍くなってしまうのです。しょうがないので,ある程度動きが鈍った時点で終了して,そこでグループ作りをしました。

ミラーストレッチ カンフータッチ
エレファントタグ

【左上】ミラーストレッチ

【右上】カンフータッチ

【左下】エレファントタグ


◆グループ作り◆

 次の活動からは小さいグループを作って,そこにファシリテーターが1名ずつはいって行います。そこで,全体を7つのグループに分けました。

 エレファントタグで4つの鬼ができているので,まずは4つの鬼の皆さんに体育館の四隅に移動してもらい,中央の捕まらなかった皆さんを,誕生日の季節で4つに分けて,4グループにそれぞれ加わってもらいました。次に,各グループを「腕組みのしかた」(左手右手のどっちが上?)でさらに半分に分けて8グループにし,8つの中で少ないグループ2つを合体させて7グループにしました。

 このグループ作り,前半のグループ(1組〜3組)のときはちょっと時間がかかったのですが,後半のグループ(4組〜7組)のときにはかなりスムーズにいきました。


2.ディインヒビタイザー

スピードラビット 参加者が輪になって,中央に指示者がいる。指示者が輪の中の一人をさして「ラビット」と言ったら,その人とその両側の人が3人一組でうさぎの形を作る。ラビットの他に,ゾウ,ウシ,エルビスプレスリーなどいろんなバージョンを決めておき,ランダムに指示を出していろんな動きを楽しむ。指示者が指示を出してから「ジャンボ,ジャンボ,ジャンボ」と言う間に形ができなかったら,その人が交代して指示者になる。指示者を増やすとわけのわからなさが増していく。
動物中の人両脇の人かけ声
ラビット両手を挙げて耳のポーズ寄り添って足をバタバタスタンプスタンプスタンプ
ゾウ片手を伸ばしてゾウの長い鼻両腕で輪を作り,中の人にくっつけて耳パオ〜ン
ウシ両手をくんで前に伸ばし親指をしたに突き出す中の人の親指を両手でしぼるぎゅうぎゅう
エルビスギターをかき鳴らすポーズ片膝をついて両手をヒラヒラひゅーひゅー
慎吾ママオッハーマヨチュチューポーズに同じ

 

スピードラビット
スピードラビット

 最初の説明を壇上で一斉に行いました。ラビット,ゾウ,ウシの3種類のポーズと,中心と脇役の役割分担が固定的でないことを説明し,その後,グループごとに分かれて挑戦。3種類がだいたいできるようになったら,「慎吾ママ」や「あむろ」などそれぞれのグループで付け加えました。最初はファシリテーターが指示役をしましたが,慣れてきたら参加者の中から指示役を出し,指示者の数をだんだん増やしていきました。

 私が担当した二つのグループ(前半/後半)を比べると,ここでノリのいい悪いがはっきり出てきたように思います。前半のグループは皆さん積極的でひとつにまとまってこのアクティビティができたのですが,後半のグループは指示者が動物の名前を言ったときに「え〜,やるの〜」(一歩二歩下がる)という感じの雰囲気が男女両方に感じられて,それがそのまま次のイニシアチブに持ち越されてしまったようでした。

 今考えると,後半のグループにはもう少し抵抗の少ないディインヒビタイザー,またはアイスブレーキングを持ってきてあげられたらよかったと思います。今の私にはそれを瞬時に思いつく力量はないのですが…。

3.イニシアチブ(20分)

スタンドアップ ルールは『足先をつけたまま全員同時に立ち上がる』。最初は二人向かい合って座り,そこから立ち上がる。それを4人,8人,…と増やしていき,最後に全員で立ち上がる。人数が増えると円陣では無理になるので,それをどう解決するかが課題。
ワープスピード 輪になって,ボール(毛糸玉)をトスして一人1回ずつ受け取る。その順番を覚えておく。同じ順番でできるだけ速くボールを一周させる。その限界に挑戦する。ボール(毛糸玉)を1つから複数に増やしても楽しい。

 イニシアチブは,スタンドアップかワープスピードのどちらかを,グループの出来具合から判断して行うという計画でした。実際にはワープスピードを行ったグループはなく,全員スタンドアップに取り組みました。

 最初,壇上でオカちゃんとマンちゃんがモデルになって,ピーチボーイがスタンドアップの説明をしました。その後,グループに分かれてトライ。2人組はすぐにできて,喜びの声があちこちからあがります。できたところ同士を合体させて,4人,8人と増やしていき,最後にグループ全員(15〜30名)での挑戦を行いました。最後まで円陣にこだわったグループあり,発想の転換をしたグループあり,それぞれ話し合ってアイディアを出して取り組んでいました。

スタンドアップ

 私が受け持ったグループの場合は,前半のグループは一人の生徒のアイディアで,円陣から別な形に隊形を組み替えて,終了時間間際に見事全員(生徒+保護者)で立つことができました。一方,後半のグループでは,生徒たちの小集団と保護者の小集団の2グループまでまとまった段階で,一人の生徒が「手をつなぎたくない」と発言し,生徒の小集団はそこで活動がストップしてしまいました。保護者のグループは円陣やら四角,三角などいろいろためして積極的に取り組んでいました。

 「手をつなぎたくない」グループでは,どうすれば手をつなげるか,当事者以外の生徒がいろいろアイディアを出してくれましたが,その生徒がどうしても納得できずにいるうちに,グループ全体のまとまりがどんどんなくなっていきました。私もいくつかアイディアを出してみたのですが,うまく修復することはできませんでした。

 あのときどうすればよかったのかなと,その後も折に触れて考えています。BOBには「ドーナツを使えばよかったんじゃない?」と言われました。イタリアンゴルフに使うゴム製の輪のことです。それも一理あると思う一方,そうやってつながれた相手の気持ちを考えると「う〜ん」。むしろその時点でスタンドアップをあきらめて,ワープスピードに切り替えればよかったのかもしれません。ワープスピードなら手と手がふれあわなくてすみますから。

4.最後のまとめ

一本締め 円陣になって左手を上向き,右手を下向きにして隣の人の手と合うようにする。「よ〜ぉ」のあとで,隣の人の手と自分の手で「ぱん!」と一本締めをする。

 スタンドアップが終了していないグループも多かったのですが,終了時間が近づいたのでピーチボーイが真ん中で一本締めの説明をしました。「え?左が上?下?」と戸惑っていた参加者もいましたが,練習をするうちに理解して,最後はそれなりにタイミングのあった一本締めで活動を締めくくりました。


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