MAP研究会は,宮城県教育公務員弘済会の支援によって活動しています。
kuniの研修日記(2) 教職員等プロジェクトアドベンチャー体験会 at 国立妙高少年自然の家 |
6月8日(金)〜10日(日)
ファシリテーター
マスター(鎌田氏),はるみちゃん(田中氏),まえざわ(前澤昌克氏),かな(前澤可奈子氏),タカボー(井上氏),ムーミン(長谷川氏) |
前日のミーティングの話からしようと思います。一つの研修について本当に綿密な計画が練られているのです,前も話しましたが…。この研修についてもミーティングでKATから次のようなことが出されていました。
状況 | どんな意識の,どんなバックボーン・職業を持った参加者か,など |
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施設状況 | バッグの個数やインドアの施設など |
エレメントに関して | ぬかるみ,芝の枯れ具合,ワイヤーの緩みなど |
講習内容についての考察 | ニーズアセスメントの仕方から,グルーピングの仕方,それに見合ったファシリテーターの配置など |
ファシリテーターのアレンジについて | 今回は14人ぐらいの3つのグループに分けて,各グループを2人のファシリテーターが支援する(コ・ファシリテーション)のでそのペアリングについてなど |
こういう確認は,MAPでも事前に必ずやっておくべきことですね。本当に僕なんか今まで手抜きだったなあ,と反省しています,トホホ…。
さて,マスターとカプセルホテルのお風呂で待ち合わせ(?)で,そこから大きな荷物を持って中央線,東京駅ではるみちゃんとタカボーと合流,長野新幹線に乗った。もちろんはじめて。途中,軽井沢などテレビでしか見たことのない風景が流れていって感激。僕も都会人になった気分でした。長野からさらに乗りかえて約1時間,関山駅に到着しました。途中3人はおもむろにノートを取りだし,電車内でミーティングが始まりました。
あとは皆さんが体験してきたのとそれほど変わらない研修が始まったのですが,明らかに進化しています。伝えたいことが確実に伝わっているなという印象でした。皆さんもバーションアップするPAに後れをとらぬよう,積極的にMAP講習 氓竝u習 などに参加しましょう。
<タグ> |
<スパイダーズウェブ> |
印象に残った言葉をいくつか。
「18時間の講習の内容はPAを伝えるという観点からは18秒ぐらいのもの」
kuniの意見:体験会は本当に紹介程度,ということ。
「この2泊3日の講習会はワークショップ形式(参加者が作り上げていく形式)の講習会。皆さんのこれまでの学びの場(後頭部凝視型)からワークショップ形式(みんなの顔を見よう)の転換を」
kuniの意見:宮城は1泊2日でやってきた人が,ばんばん教えているよね。
「5+3=□ 結果重視型:日本的
□+□=8 プロセス重視型:欧米←PAが目指すもの」
kuniの意見:これは,参考書会社のコマーシャルにもなっているそうです。他にも,RIKAKOがカルピスのCMで子どもに投げかける言葉が「プロセス重視型の象徴」というお話もありました。
「答えは一つとは限らない。こちらから答えは教えない。←教えた瞬間に我々はその子の学びをとってしまうことになる。99.9%答えに近いヒントは与えることもあるが,答えはどんなことがあっても教えない。」
kuniの意見:答えを教えたくて仕方ない先生方って,実は非常に多いです。
「くぎ:やってみたい人はどうぞ。やったことのある人はそれなりの参加の仕方を。」
kuniの意見:「それなり」という部分にFVがたくさん詰まっているのです。
(比喩)「体験と指導者養成は,パラグライダーの免許を取った人がその日に他の人を実際に飛ばさせるようなもの。免許取り立ての人が,自動車学校の教官をやっているようなもの。」
kuniの意見:こわいよね。
「合宿等で野外炊飯をするけど,その目的は何?どうしてカレーを作るんだろう?どうせやるならゲーム感覚で。たとえば,ゲームによっていろいろなところに置いてある食材をゲットして,交渉ゲームをする。にんじん班・タマネギ班・肉班などで交渉し合い,物々交換をするなどしたら。今の社会は交渉社会,それを疑似体験できるのでは。」
kuniの意見:このようなアイディアを出し合う場として,MAP研が発展していけば…。
<チキンベース> |
<ニトロクロッシング> |
振り返りの仕方で感じたことをいくつかあげると…
言葉で表現する,してもらう時間がないときなど,また言葉を使いたくないときなどは好きな色でシェア,粘土でシェア,などを使っているファシリテーターがいたこと。みんなそれぞれ話したくて仕方ないときに,あえてそれを言葉に出させず次へのエネルギーに変える方法などを使っているファシリテーターもいました。みんな振り返りについてやはり非常に気配りをしているなという印象を受けました。 また,活動を終えてから部屋に戻るまでの時間をソロ(一人)の時間として,振り返りに活用するなど時間がないところでもいくらでも自分に対する問いかけができるのだと感じました。自然の中で,雨が草花に落ちる音,小鳥が遠くでさえずる音などいろいろなものを「見て」,「感じて」,そして「聞ける」環境づくりができていれば,それでOKなのだと思いました。
<ビート> |
<ヤートロープ> |
また,今回,ある活動中に介入が入ったケースを見ることができました。そのケースは以前その活動をしたことがあった人が,今この場でうまく関われなくて悩んでいるときに「いいんじゃない,つぎ行こうよ」となったケースでした。
「『いいんじゃない』のプラス思考も目的にあったものでなければ妥協しない。それはその場を流してしまうと,次に同じようなケースが起きてもまたそうなってしまうから。さらにこれからの日常で起こってしまったときに,そのまま流されていったらもったいないから」
というファシリテーターのお話でした。これも振り返りのいい材料になりました。グループはこれを機会に,また少しまとまってきたという印象を受けました。その人が他の人に教えるときに伝わらせてはいけない部分がある。そのためにPAJスタッフは必死に伝えようとしているのだと思いました。僕なんかは「フルバリュー」という言葉のもとに「放任」になってしまうことも正直あるのですが,必要に応じて「介入」する勇気をもらいました。
もう一つのグループでは「ストーミング」(タックマンのグループの発達段階でフォーミング(形成)→ストーミング(対立)→ノーミング(統一)→トランスフォーミング(移行)またはパフォーミング(実行)の一段階)を経験しました。それまで意見を言うのを遠慮していた参加者が自己開示をしたときに「どうして今まで言わなかったの」「言える雰囲気でなかったでしょ」などという意見の交換がなされたのです。その晩,その参加者はお風呂でも話し合い,夜遅くまでそれについて考えていたそうです。次の日の活動では,ローエレメントの活動でもスポッティングなどを見ると前日よりも安全な環境を作り出していたようでグループとしてまとまったのかなと感じました。
<TPシャッフル> |
<ビーイング> |
最後にマスターが言った言葉,これはMAPに対しても警鐘として受け止めるべきだと思います。
「トラストフォールを『信頼を高める』目的でやる先生がいます。『ほら,後ろに倒れろ,後ろの人は支えろ。ほらな信頼関係ができただろう。』という具合です。トラスト(シークエンス)の活動は,信頼関係を構築するためにする活動ではなく,信頼の度合いを確認する活動です。信頼関係を築くにはとても長い時間が必要です。でも壊れるのは一瞬です。トラストで失敗したらもう一度スタートからのやり直しです。ですからそれを十分に理解してください。」
これが,僕自身も今まで言葉にしたいと思っていてできなかったことを言い当てたお話だったと思います。県教委発行の「ガイドMAP」のFAQに「プロジェクトアドベンチャーといったらトラストフォールですか。」という質問項目がある現状をしっかり見つめ,この項目が削除されるような普及活動をしていくのがMAP研究会の使命かな,などと思ったりしました。
以上,また次の活動をアップします。ご期待ください。