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気象庁の「竜巻の月別竜巻確認数」によれば,竜巻は年間を通して発生しているが,特に9月と10月に多発する傾向がある。アメリカでは毎年のように竜巻による被害が報じられるが,日本でも2012年の茨城県・栃木県の竜巻などで,死者や住宅等の被害が発生している状況があり,学校としても対策を疎かにはできない。
学校は採光のために窓ガラスが多い構造であり,ガラスの飛散により被害が大きくなる危険がある。アメリカの竜巻多発地帯(トルネード・アレイ)では,学校にシェルターを設置するところが増えているが,日本ではそのような設備はないため,学校の中で安全な逃げ場がなかなかないのが現状である。
栃木県の小中学校では2012年の竜巻被害を受けて,竜巻を想定した避難訓練を行っている。平成25年3月に文部科学省が作成した『学校防災のための参考資料 「生きる力」を育む防災教育の展開』のp140-141には,竜巻を想定した避難訓練の展開例も掲載されているので,参考にしたい。
平成25年3月に文部科学省が作成した『学校防災のための参考資料 「生きる力」を育む防災教育の展開』の第3章「学校における防災管理」の中に,竜巻に関する記述があるので,そこから一部抜粋する。
第5章「学校における防災教育の展開例」の中学校の中に,竜巻を想定した避難訓練の展開例が掲載されている。
2012年5月6日,茨城県及び栃木県において複数の竜巻が発生し,死者1名,2,000棟を超える住宅等が全半壊した。この災害では3つの竜巻がほぼ同時に発生した。その中で茨城県常総市からつくば市にかけて被害をもたらした竜巻は,現地調査で基礎ごとひっくり返った住宅などがあり,藤田スケールでF3とされた。日本では過去にF4は発生しておらず,国内最大級の竜巻だった。
2013年5月20日の午後にアメリカ・オクラホマ州のムーアで発生した竜巻は,改良藤田スケールでEF5という最大級の竜巻で,死者は24に人にものぼった。竜巻は2つの小学校を直撃し,倒壊した校舎の下敷きになるなどで9名が死亡した。これらの小学校では,竜巻用のシェルターが備え付けられていなかったことが,災害後に話題となった。
晴れた日に運動会の会場でつむじ風がふいてテントが飛ばされることがある。これは塵旋風と呼ばれ,竜巻とは別の現象である。
2013年6月8日午後1時半過ぎ,運動会を行なっていた茨城県古河市の小学校の校庭で突風がふいてテントが2つ巻き上げられ,児童6人が軽傷を負った。水戸地方気象台によると,当日の天気は晴れで大気は安定していて,突風や竜巻が発生するような気象状況ではなかった。